2008年11月27日木曜日

ノンタイトル~本編4~

2008年11月27日 木曜日

「3点で、564円になります!」

「600円頂きましたので、36円のお返しです!」

「どうも、有難うございました!」


もうじき18時になる。

今日のバイトは18時上がりだ。

僕は、大学1年の頃から

家の近くのコンビニエンスストアでバイトを始めた。

大学を卒業したら、このコンビニともさよならをしなければならない。

そう考えると、卒業するまでのわずかな時間、

今以上に頑張らないとなと、最近考えるようになった。

21時からは、郵便局での仕分けのバイトがある。

それまでの時間は、いつも家に帰って

一人で夕食だ。

4年生になってからは、バイトも去年に比べて

出勤できる時間が増えたから、月の給料はだいぶ上がった。



家に帰り、カバンを置いた。

そして携帯を取り出し、メール受信の問い合わせをした。

しかし、メッセージはない。

昨日の晩から、何度問い合わせをした事か。

僕は、彼女からの連絡を待っていた。

昔、高校の合格通知を何度もポストへ行きながら

待っていたのを思い出していた。

でも今回は、不合格に違いない。

彼女が、僕に連絡をしてくる理由は、僕には見当たらなかったからだ。

いくら、相談にのると言ってもほとんど初対面に近い僕に

何の相談ができるのだろうか。

僕が、逆の立場なら連絡はしない。

きっと、そうだ。

それに、僕は彼女の事を何も知らない。

それは、相手にとっても同じ事だ。

「もう考えるのはよそう」

僕は、彼女に出会う前の普通の生活に戻ろうと決意した。

時刻は、20時をまわった。

僕は、いつものようにガスの栓を締めて、電気を消し

玄関を出た。

夕方に降っていた雨は止んだようだ。

僕は自転車に乗ろうとした時に

サドルに、数滴の雨が残っているのに気づいた。

その瞬間、僕は昨日の彼女の涙を思い出していた。

机にこぼれ落ちた、数滴の涙。

彼女は今も、泣いているのではないだろうか。

僕は、空を見上げた。

やはり今夜は、星がみえない。



僕はさっきした決意を思い出した。

「もう彼女の事は考えない!」

そう自分に言い聞かせるように言った。


その時だった。

どこからか、音楽が聞こえてきた。

それは間違いなかった。

メールの受信音が、鳴り響いていたのだ。














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