2010年2月25日木曜日

朝まで生ブログ。

「最近、なんか作風が偏ってきてるのよね。」

中堅議員の若松加代子だ。

ペタッとした髪に黒ブチ眼鏡で

そこから覗かせる意地の悪そうな目が

おれは嫌いだった。

「そうなんだよ、ただ自分が楽しんでるだけとしか

 いいようがない。民衆の事なんて君は

 これぽっちも考えてないんだよ!!」

佐川栄太郎。

7年前の汚職事件後、人が変わったかのような

キャラづくりが大成功し

今じゃ、メディアでも人気の高い議員のひとりだ。

「安ネタの、デパートよ!あんなの!」

新人議員の新山恵子だ。

新人だけあって、キャンキャンとうるさい。

「という、お3方の意見を踏まえ

どう考えておりますか?」

田原さんの鋭い目が、おれに向けられた。

おれは一息ついてからゆっくりと話し始めた。

「確かに、自己満足的な所がありました。
 
しかし、私も含めてみなさんが

楽しいと思ってくれたり

哀しいと思ってくれたりと

このブログを通じて

みんなで泣いたり笑ったりできれば

幸いだと思い、書き続けてきました。

その気持ちは今も変わらず

のほほん工房はこれからも

続けて行く所存であります!」

会場内が一瞬静まり返った。

そして次の瞬間、

拍手とスタンディングオベーションの嵐に

おれは包まれた。

「すばらしい!あなたは!」

佐川議員だった。

「あなたは紳士よっ!

 デパートの紳士服売り場よ!!!」

意味が全く理解できなかった。

疑惑のデパートという昔の名言をどうしても使いたかったのだろう。

新山議員の気持ちだけは受け取っておく事にした。

「本当に先程のあなたの気持ち。

 信じていいんだね?」

田原さんが、念を押すように

おれに言った。

「今もこれからも

 この気持ちだけは変わりません!」

すると田原さんは言った。

「ファイナルアンサー?」

番組が違うだろうと思った。

しかし田原さんの、してやったりみたいな

勝ち気な笑顔におれは負けた。

「ファイナルアンサー。」

とおれは答えた。
















という訳で、これからも

のほほん工房を宜しくお願いしまーす!







2010年2月23日火曜日

終わっちゃった。

大ヒット連載。

ロックバンド。。。が

とうとう最終回を迎えてしまいました。

イソフラ☆ボンと

もう会えないと思うと

なんだか寂しいです。


という訳で



また大ヒット連載が

生まれるまで

しばしお待ちを。。。


数打ちゃいつかは当たるって事で。

これからも適当に書き続けて行きます!!!






それでは!




2010年2月22日月曜日

ロックバンド。。。その4

半年ほど前の話になる。

あいつにこのバンドを辞めてもらおうと

あいつ以外のメンバーで

あれやこれやで作戦を練っていた頃だった。

イソフラ☆ボンは、自ら

「おれ、バンド抜けたいんだ。」

と相談をもちかけてきた。

理由は

「おれ、イソフラ☆ボンという
 
 無限の可能性を存分に試したいんだ!

 こんなロックバンドじゃ、

 おれのやりたい事ができないんだ!」

というものだった。

おれたちはあいつを止める事なく

快く承諾した。

そしてあれから半年がたった今。

おれは何気なしにテレビを見ていた。

しかしブラウン管の向こう側に見慣れた顔があった。

そしてその映像に合わせて音楽が流れ始めた。

プロモーションビデオだった。

イソフラ☆ボン

デビューシングル 「大豆のパワーは 半端ねぇ」

イントロが流れ出すと

それはユーロビート調のダンス音楽だった。

今までやってきた、ロックとは全くかけ離れていた。

それに元々ドラマーだったのにドラムもない。

あいつは何をやってんだ。

しかもその曲は

昔ブレイクした

MAXの「TORA TORA TORA」

そのものだった。

パクリかよ。

しかもあいつは、頭に大豆だと思われるような

かぶりものをして、全身は黒タイツで被われていた。

激しいダンスに、あの大きな大豆のかぶりもの。

うまくバランスがとれるはずがない。

案の定、頭を

ぐらんぐらんとさせ

不自然な動きをしながらステップを踏んで歌っている。

あいつ、本当に何なんだ。

しかもサビの歌詞が

MAXの「TORA TORA TORA」では



TORA TORA TORA

恋は一途

TORA TORA TORA

本気よ


という歌詞だが

あいつの曲では



MAME MAME MAME

豆は大豆

ISO FURA BON

豊富よ


と歌詞だけ勝手にアレンジしてあった。

あいつは間違いなく世間を敵にまわす気だ。

こんな学芸会みたいな作品が売れるはずがない。

音楽そのものも侮辱しているとしか言いようがなかった。

何が無限の可能性だ。

これがあいつのやりたかった事なのか。

おれは呆れ果てた。

テレビを消しパソコンの電源をいれて

何気にYAHOOニュースを眺めていた。

すると芸能のニュースに


イソフラ デビュー曲ミリオン

という見出しがあった。

おれがまず腹がたったのは

イソフラ☆ボンの

イソフラという略し方だ。

インフルエンザを

新型インフル 沈静化か

みたいな日本国民みんなが承知ですみたいな略し方を。

そして、記事を見てみると

イソフラ☆ボンのデビューシングル

「大豆のパワーは、半端ねぇ」

が発売からわずか3日で、ミリオンセラーを達成したのだ。

おれは目を疑った。

あんな猿芝居みたいな踊りと

パロッただけのあんな変な曲でミリオン!?

しかもその記事の最後に

”これだけのヒットが生まれたのも

きっと大豆ペプチドの効果だろう”

と書かれていた。

笑えない。

全く笑えない。

そんなタブロイド紙のような安っぽい決め台詞は

全く笑えなかった。


おれは、なぜか大豆について

調べてみた。

ウィキペディアで。

そして1つだけわかった事があった。

それは

大豆のパワーは、半端ねぇ

って事が。



























久し振りにだらだらと。

昨日久し振りに

globeの

Precious Memoriesを聴きました。

今聴いても、本当にすごく良い曲だなって。

昔、好んで聴いていた曲って

同時にその頃の事を

瞬時に鮮明に思い出すから不思議。

帰ってすぐに iTunes Storeで購入しちゃいました!

で、今聴いてる。

19歳ぐらいの頃を思い出したけど

もう12年も前の話なんだなって。

歴史感じさせられます。

最近話題のイソフラ☆ボン。

みんな知ってますか!?

自分で今まで書いてきた中でも

上位に食い込む、大好きなキャラクター。

昨日は、みんなは私の事をイソフラって呼んでました。

私、イソフラじゃありませんから。

でも私も好んで、自分の事イソフラって言ってたけど(笑)

明日は第4話の予定。

自分でも楽しみです。

という訳で、

そろそろ本格的にゴルフの練習を始めなければ!?

4月は念願の、いつもお世話になっている

バーのみんなとゴルフです!

超楽しみで、今からわくわく。

みんなに迷惑かけないように

練習あるのみ!

あと久し振りに動画ブログも

再開したいなって。

やりたい事がいっぱい。

これからも頑張ります!!!

みんな、応援してねっ!









2010年2月20日土曜日

ロックバンド。。。その3

執拗以上のあいつのこだわりの訳。

それが今やっと、わかった気がした。

おれたち3人は、あいつの実家に

初めて招待された。

昨夜のさよならコンサートは

さよならではなく、おかえりコンサートに

なってしまった事は言うまでもない。

結局、イソフラ☆ボンと

今まで通りにやって行く事になっている。

そしてあいつの実家の前におれたち4人は

立っている。

そうあいつの実家は豆腐屋だった。

イソフラ☆ボンという名にこだわっていた理由。

そして

「大豆のパワーは、半端ねぇ」という言葉の意味がわかった気がした。

そりゃ、誰よりも大豆のパワーにはお世話になっているはずだ。

店の玄関の戸を、ガラガラと引き

あいつは中にはいっていった。

おれたちもあいつの後ろについて行った。

「ただいまー!

 オヤズー、マズー、

 帰ったぞー!」

なんか、あいつナマってないか?

おれたちの地元名古屋では、

あんなナマりなんてない。

しかもマズーって何なんだ。

すると奥から、あいつの親父さんらしき人が出てきた。

「おー、ボウズー!

 帰ったかー!

 おーみんなも揃いで!

 ほら、中に入った!入った!」

と、親父さんに案内されるがままに

畳の部屋へと案内され、

座るように促された。

そして、盆に湯のみをのせて

あいつのお母さんが

「いつもうちのボウズが

 本当にお世話になってます〜!」

と笑顔で出て来た。

そしてあいつは

「これがうちの

 マイ マズー。」

マズーとは、マザーのナマった呼び方だと

ようやく理解出来た。

しかし親父さんとお母さんは

さっきから、あいつの事を

ボウズ、ボウズと呼んでいるのが

ずっと気になっていた。

すると、イソフラ☆ボンが

ポケットから封筒を取り出し

ちゃぶ台の上に、ポンっと置いた。

「オヤズー、マズー!

 これ少ないけど

 とっといてくれ!」

あいつは、自分の稼ぎから

親に仕送りしているようだ。

おれはこの時ばかりは

イソフラ☆ボンがかっこよく見えた。

封筒に目をやると

おかしな言葉が書かれていた。


”親豆とマ豆ーへ”

オヤズとマズーへ?

豆?

と、次の瞬間だった。

親父さんが

「わしらもおまえに手紙を書いたから

 帰ったら、読むんだぞ。」

封筒をちゃぶ台の上に置いた。

その封筒に書かれていた言葉は

”わしらのかわいい坊豆へ”

ボウズ?

また豆?

どんだけ豆を愛する家族なんだ。





おれはこの時、初めて感じた。

大豆のパワーは半端ねぇと。











ふと庭に目をやると

一匹の犬がいた。

そいつも豆しばだった。





























2010年2月18日木曜日

ロックバンド。。。その2

やっと、幕が上がる。

おれはこの時を、どれほど待ち望んだか。

おれたち初のコンサートツアーから3ヶ月。

そう、3ヶ月しか経っていないのだが

今回、いろいろと事情があり

メンバーのイソフラ☆ボンの脱退する運びとなった。

そのさよならコンサートが

一夜限りだが、ここ地元名古屋の

総合体育館で行われる事になった。

しかし、おれにとっては

本当に心待ちにしていたコンサートだった。

別にあいつが嫌いという訳ではない。

しかし、おれたちのバンドの目指す色と

あいつの色は、全く合わなかったからだ。

あいつの脱退コンサートだから

おれの好きなようにさせて欲しいという申し出に

おれたちは快く承諾した。

しかし、なんだ。

「イソフラ☆ボン さよならコンサート

 〜大豆のパワーは半端ねぇツアー 2010〜」

バンドよりも前に、あいつが前に出過ぎているだろ。

しかも一夜限りだからツアーでも何でもない。

しかもおれたちはクールなロックバンドなのに

アイドルのコンサートみたいなネーミングになっている。

そう!

そういう所が、バンドの目指す方向性と合わないのだ。



そして、幕が上がった!


おれは、目の前のファンのために

力いっぱい歌った。

イソフラ☆ボンも、すごく活き活きと

ドラムを叩いていた。

2時間が過ぎ、最後の曲を熱唱した。

そして幕が下りた。

舞台から降りたおれたちは

互いを讃え、楽屋に戻ろうとした。

しかし、会場から

イソフラ☆ボン コールが始まった。

「行くっきゃないっしょ!」

切り出したのは、イソフラ☆ボンだった。

そういう言い方が、地味にむかついた。

おれたち3人は、互いの目を見ると

静かに頷いた。

そして、舞台に上がり幕が上がった。

黄色い声援まじりの歓声いっせいにこだまし

会場のボルテージもイソフラ☆ボンのボルテージも

一気に急上昇した。

そうしてあいつはマイクを手にとった。

「みんなー!盛り上がってるかー!」

すると大きな歓声が返ってきた。

イソフラ☆ボンは目頭をおさえていた。

感極まったのだろう。

会場からは、頑張ってという声が

イソフラ☆ボンにかけられている。

そしてイソフラ☆ボンは言った。

「おれ、マジで頑張るよ!

 こんなにも応援してくれるみんながいるんだもん!

 おれ、辞めません!

 これからもメンバーのひとりとして

 このバンドをひっぱってくよ!」

すると会場からは大きな歓声と拍手が鳴り響いた。

おれたち3人は、唖然としていた。

何を言っているのか、今のこの状況が全く把握する事ができなかった。

むしろ、把握したくなかった。

そんなおれに

「なあ、もう1回頑張ってみようぜ!

 もう逃げるなよ!」

とあいつは、声をかけてきた。

なんか、悪いのがおれたち3人みたいな感じになっている。

つい、3人は

「あぁ。」

と言ってしまった。














何なんだ。

あいつは一体。


そして最後の曲の演奏が始まった。

おれは頭が真っ白になっていて

感覚だけで歌っていた。


そして曲は最後の大サビに入ろうとしていた。

ここでは、おれとギターのジョージの掛け合いが

一番の聴かせ所だ。


わかっていたんだ (最初から)

おまえが離れていく事を (ロンリーナイト)

だけどおれは 気付かないフリしていたね (アイム ソーリー)


しかし、掛け合いの部分をいつの間にか歌っていたのは

イソフラ☆ボンだった。

あいつはジョージのパートを勝手に奪っていた。

(最初から)

(ロンリーナイト)

(アイム ソーリー)

しかもその勝手な間に

「なごやー!」

やら

「オーイエス!」


やら、極めつけは

「シロノワール!」

と叫んでいた。









どこでおれは道を間違えたのだろう。

脱退コンサートが、

あいつ主役のワンマンライブになっていた。

もう一度、終わったら考え直そう。

次の作戦を。

あいつ抜きで。











2010年2月15日月曜日

ロックバンド。。。

やっと、待ちに待った初のコンサート。

名古屋市の市民ホールを皮切りに

全国4カ所をまわる予定だ。

おれたちはロックバンド。

おれは、ボーカルのリック。

あと、ギターのジョージにベースのジャック。

それにドラムのイソフラ☆ボンの4人編成だ!

結成時に、ドラムのイソフラ☆ボンという

名前について、もめたのは言うまでもないだろう。

つのだ☆ヒロみたいだから、やめろという意見に

あいつはいっさい耳を貸さなかった。

ただ、あいつは最後まで

「大豆のパワーは、半端ねえ。」

と何度も言っていた。

そんなあいつに押された形で、今までやってきた。

しかし、とうとうこの目の前の幕が上がるのだ。

おれたちがずっと夢見てきた、初のコンサート。

この幕の向こうには、たくさんのファンのみんなが待っている。

そして幕が上がった!

おれたち4人のボルテージは最高潮に達していた。

おれが第一声を叫ぼうとした瞬間だった。

誰かが先に、叫んだのだ。

「ついに来たぜ〜!武道館っ!!!」

イソフラ☆ボンだった。

おれは、全てが終わったと思った。

なぜなら。。。。





















ここは市民ホールだ。






















このコンサートツアーが終わったら提案しよう。

これからは、3人でやって行こうと。




























2010年2月14日日曜日

スーパーバレンタイン。

今日はバレンタイン。

本当は、昔の仕事仲間との同窓会に行く予定が

体調を崩しキャンセル。

ごめんなさい!!!

本当はみんなに会いたかったのになー。

しかも車も故障。

私も車も、調子が悪い。

という訳で、本日ずっと家にいた私。

ブラッディ マンディの再放送を

寝ながら見てました。

吉瀬美智子さんが、やっぱりかわいかった。

今、シーズン2が放送しておりますが

ちゃんと、ビデオにダイビングしております。

また時間がある時に、見たいと思います。

あと、身近な人からの結婚報告がありました。

本当に心からおめでとうございます!!!

これからも、幸せでいれるよう

陰ながら、応援してます!

私も今月7日に31歳に誕生日を迎えたので

心機一転、気持ちを入れ替えて

この31歳という年を

存分に楽しめたらなと思い

まずは、明日の仕事のためにも

早寝、早寝。

という訳で、

みんな、またねー!!!




2010年2月11日木曜日

それ行け!フトシ君!

おれは、もう限界だった。

あの都会の乾いた空気。

そして希薄な人間関係。

気が付いたら、おれは電車に乗っていた。

とにかく、土の匂いが嗅ぎたかったんだ。

あの泥臭い土の匂いを。


電車を乗り継ぎ

おれは北海道に来ていた。

旭川駅で、宗谷本線で稚内に向かう事にした。

1号車の12番の窓側席。

流れる景色を酒のつまみに、のんびりと行こう。

電車の発車のベルが鳴る。

すると、おれの斜め向かいの席にひとりの男が座った。

エンジ色に白のラインのはいった

はちきれんばかりのジャージを着た高校生ぐらいの男だった。

背負っていたリュックを足下に置き

緑色のタオルで、流れるような汗を拭っていた。

電車はゆっくりと走り出し

旭川駅を後にした。

斜め向かいの男の名前は

中根 ひとし。

ジャージの胸にしっかりと黒のマジックで

書かれていた。

ひとし?

じゃなくてフトシだろ!と思ったが

心の中だけに閉まっておいた。

しばらくすると、車掌が切符を確認しにきた。

まずおれが、切符をだすと

次にフトシが、腰を少し上げ

おしりのポケットに入っているだろう切符を

左手でもぞもぞと探していた。

しかし右手にはいつの間にかじゃがりこが握られていた。

こいつ、いつの間に。

窓に目をやると、青々とした木々と

さんさんと降り注ぐ陽の光が

プリズムのように輝いて見えた。

しかし、横からばりばりという

不快な旋律が、なかなか治まらない。

斜め向かいに目をやると

フトシがじゃがりこを食べている。

うるさいなと思うと、自然と眉間にしわが寄った。

その瞬間、フトシと目が合った。

ギラギラとした額と頬の肉の厚みで

開いているのか、閉じているのか

わからないような細い目が印象的だった。

おれはすぐに目をそらし、窓の外の景色をみていた。

しかし、向かいからの視線が非常に痛かった。

あいつは、おれの方を見ながらじゃがりこを食べている。

おれは、ビールを一口飲み目を閉じた。




「次は名寄駅〜名寄駅〜!」

おれはどれぐらい眠っていたのだろう。

置いてあった、缶ビールを手に取り

残りを全て飲み干した。

ぬるいビール程、まずいものはない。

おれは起きてからずっと感じていた。

あいつはまだおれを見ながらじゃがりこを食べている。


向こうの方から、通路を歩いて来る女性がいた。

年頃で言えば、20代半ば過ぎだろう。

そういえば、おれは範子に何も言わずに

この旅に来ていた事を思い出した。

しかも携帯電話は家に置いて来た。

というか、おれの生活そのものを

置いて行きたかったと言った方が良いだろう。

知らない土地で、出会う人たち。

おれの事を全く知らない人たちと

新しい出会いをしたかった。

しかしあいつはまだおれを見ながらじゃがりこを食べている。

範子と出会ったのは、3年前。

おれの会社の取引先の子だった。

始めに恋をしたのは、おれの方からだった。

しかし1年ぐらい、声をかけれずにずっと悩んでいた。

そんな時だった。

ひょんな事から、取引先の会社の忘年会に

おれと同期の藤原が呼ばれたのだ。

これは絶好のチャンスだと思った。

そしてやっと声をかけられたのが

2次会のカラオケだった。

ちょうどトイレから出ようとしたおれの前に

彼女がいたのだ。

今しかないと思いおれは彼女に

初めて話しかけた。


しかし、あいつはまだおれを見ながらじゃがりこを食べている。



いつの間にか電車は佐久駅に到着していた。

稚内まではまだ遠いが、道のり半ばは過ぎていた。

特に稚内に行かなければならない理由等はなかった。

理由は向こうに着いてから考えようというのが

おれの今の考えだった。

それよりもまず着いたら、宿を探さなければならない。

それと地図を買おう。

北海道に来るのは、生まれて初めてだったから

ブラウン管の向こう側の景色や出来事にしか思えなかった場所に

今、自分が来ていると思うと不思議な気持ちだ。

しかし、あいつはまだおれを見ながらじゃがりこを食べている。

しかもよく見れば、しっかりと握られたじゃがりこが

サラダ味からチーズ味に変わってるではないか。

こいつ、いつの間に。

するとフトシは、じゃがりこを止め

おれに話しかけてきた。

「僕のお母さん、知りませんか?」





おれはとりあえず、次の駅で電車を降りる事にした。





































2010年2月6日土曜日

ユキフルキョウ。

昨日は、大真面目に物語を書いてみました。

人の痛みがわかるって事は、

とてもとても大切な事。

いじめだけでなく、

そんなつもりはなかったのに

軽い言動で行動で相手の心を傷つけてしまったりって

僕をはじめ誰にでも起こりうる事。

でもその傷つけた相手には

その人を必要としている人、

その人を愛している家族がいます。

だから、ひとりを傷つける事は

その周りの人たちをも傷つける事になるのです。

私の書いたもので、誰かが少しでも何かを

感じ取ってくれれば、幸せに思います。




次は、楽しい話!?を


みんなに届けられれば!!!








頑張りまーす!!!






それではまた。。。。









2010年2月5日金曜日

いのち。

足場の悪い道なき道を

僕は登り続けた。

これを登りきれば、頂上まで行けば

僕の中で何かが変わる気がした。

むしろ変わりたいと切に願っていた。

僕の前を、父さんと母さんと弟のたかしが

1歩1歩を、踏みしめながら登っている。

富士山に登ろうと最初に言い出したのは父さんだった。

いつものジョークかと母さんと僕は笑っていたが

父さんは、本気だった。

でも、僕もその意見には否定的ではなかった。

「頂上が見えてきたぞ!」

父さんは後ろを振り返り、僕らに声をかけた。

正直、疲労感も限界に達し

登り始めて痛みがあった足も

今は完全に麻痺しているかのようだった。

そして僕らは頂上に到達した。

日本最高峰の富士山に。

「けんいち!たかし!見て!

 すごく綺麗!ほらー、お父さんも!」

さっきまで、元気のなかった母さんに

元気が戻った。

母さんに言われるがまま、少し小高く上がった崖の上に登った。

そこから見える景色は、この世のものとは思えない程

豊かで、壮大な景色。いや、むしろ芸術作品を眺めているといっても

過言ではなかった。

自然が創り出した、芸術だった。

その景色を見ていると

今まで、悩んでいた自分がなんてちっぽけだったのかと

心の奥底から思えた。

明日から、いや今日から自分が変われる気がした。

だから僕はもう逃げないんだ。

あいつらのイジメからは。

「どうだ!来て良かっただろう?」

隣に父さんが立っていた。

そして父さんは僕の方をみて

優しい笑顔で語りかけてくれた。

「うん!最高だよ!

 こんなにも感動するなんて思ってもみなかったよ!」

この言葉を聞き

父さんはこう言った。

「けんいち。もしな、この先おまえの人生で

 辛い事や悲しい事があった時

 みんなで見たこの景色を思い出すんだ。

 そして負けるな。乗り越えるんだ!」

父さんの目は、いつになく真剣だった。

父さんのこの言葉の意味が、

何となくわかったような気がした。

「やばい!もれちゃう!!」

その言葉に、母さんはたかしを連れて

小屋の方へ走っていった。

さっきまで、流れていた汗が

山頂を抜ける穏やかな風で冷やされ

何とも心地の良い気分だった。













そして1週間が過ぎた。














あの日以来、僕はイジメに対して完全に無視できるようになった。

絶対に負けないという強い気持ちが、

僕の弱い心を守ってくれているような

そんな気持ちにさせてくれていた。

その甲斐あって、あいつらもここ2、3日態度を変えたのだ。








僕は授業が終わり

いつものように、学校を出た。

しかし僕は、少し急いでいた。

それには、理由があった。

今日は、たかしの誕生日だからだ。

朝、父さんも早めに帰ると言っていた。

僕は帰ったら、母さんとたかしと3人で

ケーキを買いに行く約束をしていた。

こういう時にしか、大好きなケーキを

食べられる機会なんてないからだ。

僕はそれを思うだけで、胸が躍った。

信号を渡ろうとした瞬間、

何者かに後ろから肩をつかまれた。

そして次の瞬間、頭の中で鈍い音がなった。

その音と共に、僕は道路に倒れ込んだ。

口の中には、生温かい血の感触があった。

そして僕は気付いた。

殴られたのだ。

見上げるように見た、視線の先には

辻野と浜中が立っていた。

この二人が、僕をイジメる中心人物だ。

「おい!おまえここ最近、特にむかつくなー!」

辻野が、少しづつ僕に近寄りながらいった。

「こいつなんて、いなくなっちゃえばいいんだよ!」

後ろから浜中が言った。

こんな所で、道草している場合じゃなかった。

母さんと、たかしが家で待っている。

けど、こんなに口の中が切れてたら

ケーキが美味しく食べれるかと少し心配になった。

とにかく、僕はこいつらを無視して帰ろうと思った。

僕は、すり切れた掌を地面につけ

腰を上げた。

そして、軽くズボンをはたき行こうとした瞬間

また辻野が僕の肩をつかんだが、僕は振りはらった。

「おまえ!何、逃げようとしてんだよー!」

そして浜中と二人で僕を捕まえようとしたが

僕は、力いっぱいそれを振りほどこうとした。

そして何とか振り切れたと思った瞬間だった。

僕はいつの間にか道路に飛び出していた。

そして目に飛び込んで来たのは、大きなトラックだった。

一瞬、全てが真っ白になった。

気がついたら、僕は冷たいアスファルトの上に頬をつけ

うつ伏せで寝ていた。

頭から何か生温かい感触があったが、それが何かはすぐにわかった。

痛いという感覚は超えて

自分が自分ではなくなっていく感覚だけがあった。

僕は死ぬんだと、まだ微かに生きている脳がそう判断した。

この間、家族で見た富士山からの景色は本当に綺麗だった。

父さん、母さん、たかし本当にありがとう。

それにごめんね。

先に逝っちゃうけど。

僕は本当に、父さんと母さんから生まれてきて幸せでした。

このまま生き続けていたら、僕はどんな大人になっていたんだろう。

先生になりたいって夢は叶えられてたかな。

イジメなんかで生徒を絶対に悲しませないたくましい先生に。

父さん、富士山に登ろうって言ってくれたのは、

僕のためだったんだよね。

僕が学校でいじめられてる事を

父さんと母さんは多分、気付いてたんだよね。

僕、嬉しかったよ。

ひとりだけだと思ってたから。

僕には、誰よりもちゃんと想ってくれる味方がいたんだ。

こんなにも近くに。

本当にありがとう。











本当にありがとう。




母さん、たかし、約束破っちゃってごめんなさい。









みんな、バイバイ。



























































2010年2月4日木曜日

おませさん。

透明なグラスを、棚から取り出した。

そして冷凍庫から、少し大きめの氷を選び

3つばかりそのグラスに落とした。

ボトルに手を伸ばしフタをあけ

ジャックダニエルを注いだ。

右手で持ち上げたグラスを

2、3度まわし酒と氷を馴染ませた。

そしてグラスに鼻を近づけその香りを確かめた。

鼻にツンとくる、どことなく古くさい香りがたまらない。


この匂いの何がよくてこんなものを好んで飲むのか。

まだ小学4年生の僕には全くわからない。

そんな事よりも、明日の時間割を確認しなければならない。

グラスに注いだ酒を、流しに捨て

僕は2階に上がっていった。





























お酒は20歳になってから。






















のほほん工房、本年も宜しくお願い致します。。。