2008年11月19日水曜日

ノンタイトル〜序章2〜

2008年11月19日 水曜日

今日は完全に寝不足だ。

寝る前に彼女の事を、思い出したからだ。

実は僕は昨日以来、彼女の事を思い出す時間が徐々に増してしいたのを

実感じていた。

朝起きても、頭がぼーっとしていた。

今日も1限目から、しっかり授業がある。

いつものような元気が出ない。

朝は、軽めに食べて学校へと向かった。

授業の間も、いろんな事を考えてしまう。

あの時、僕が声をかけていれば。とか

自転車置場から、すぐに帰らずに彼女を待ってたらとか。

授業には全く集中できない。

開いたノートには、少しの落書きしか書いてなかった。

しかも、”会いたいなー”なんて人には決して見せられない

なぶりがきに似た言葉が書いてあった。

「そうだ!今日も、彼女は来てるかもしれない!」

そう思った瞬間、心が弾んだ!

もう、授業なんてどうでもよくなってしまった。

今は、哲学の授業だが

前で、金縁メガネをかけた高橋教授が

一生懸命に、弁をふるっている。

マキャベリの「君主論」なんて

今の僕には、必要もなければ、意味もなかった。

「どうせなら、恋愛論でも教えてくりゃいいのに」

と、ひとりつぶやいた。

今日の授業は、午後も引き続きあったが、

休んでもさほど影響のない授業なので

久しぶりにさぼる決断をした。

自分でも珍しい決断だ。

2時限目の鐘と同時に

僕は、講義室を飛び出して いつもの図書館に向かった。

いつも買う、缶コーヒーの自販機をやり過ごし

図書館だけを目指した。



自転車を止めて、足早に図書館のゲートをくぐった。

彼女らしき姿は見当たらない。

僕は、エレベーターのボタンを押した。

2階から降りてきた、エレベターの扉が開いた。

そして、エレベータに乗った瞬間、彼女の香水の香りが

わずかながら残っていた。

僕の胸が、一瞬で高鳴りを覚えた。


「彼女が来てる」


2階に着き、エレベーターの扉が開いた。

僕は、いつもの席へ向かった。

すると、先週と同様に青いバッグがそこには置かれていた。

僕の気持は更に高ぶった。

後ろの席にかばんを置き

本を取りに行った。

というよりも、無意識のうちに彼女を探していた。

すると、前から白いコートを着た女性が歩いて来た。

まさしく、彼女だった。

僕は、視線を反らし興味のない本を一冊取り出して

彼女が通り過ぎるのを待った。

すると僕の後ろで足音が止まった。

そして

「あ!?昨日の人だぁ」

「覚えてる?」

一瞬、誰に話かけているのかわからなくなり

頭の中が真っ白になった。


そして、僕は振り返った。


すると、僕の目の前にあの彼女がいる。

そういえば、彼女の顔をこんな間近で見るのは初めてだった。

すごく目がきれいだった。

決して色白の美人タイプとはいえないが、

目が大きく、上品な雰囲気の中にどことなく健康的な印象を受けた。

はっと我に返った頃には、彼女は

3言目ほど、しゃべってる雰囲気だった。

「この間、私のあくびを見たでしょう!」

彼女の口調は少し怒っていたが、

その目は、笑っていた。

僕は、はっきりと気づいていた。

今 目の前に立っている彼女は、

僕を優しく照してくれる太陽だという事を。



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