2009年2月28日土曜日

購入!


鉄コン筋クリート、購入しました!


漫画を買ったのは、


本当に久しぶりです。


明日は仕事なので、


今日は読めませんが・・・。


で、これは全三巻が


一冊になった特別版です!

サイズも特大!


タバコが相当、小さく見えます。


という訳で、明日の早起きに備え


そろそろ、深い眠りにつきたいと思います!


みなさん、おやすみなさい☆

2009年2月27日金曜日

本日。

こんばんは!

今日のブログがちょっくらお休みです。

ゴルフの練習で、遅くなってしまったので!

明日は金曜日です。

しかも2月も、もうすぐ終わろうとしています。

最近は、花粉症で悩む方がちらほら出て来ました。

もうそんな季節なんですね。

それでは、みなさん

おやすみなさい!

2009年2月25日水曜日

嵐山 トヲル。

おれは、嵐山トヲル。

感受性豊かな、21歳。

まだ学生だ。

おれは、この地球が大好きだ。

この地球がもたらしてくれている

大きな財産に、おれは感動を覚える。

時計の針は、8時を指していた。

今日は、朝一番からの講義がある。

おれは、急いで家を出た。

そして、駐輪場に置かれた

おれの自慢の愛車のサドルにまたがった。

すると!?

ハンドルが冷たい!

こんなにも冷えきっているなんて!

すまなかった!

ミシェール!

おれとした事が、こんな凍えそうな季節に

おまえを独り、寒空の下に残すなんて

おれは、おれは・・・。

おれは、号泣した。

溢れんばかりの涙が、流れ出た。



そして落ち着いたおれは

愛車のミシェールに乗り学校を目指した。

目の前の信号が、点滅している。

おれは、ブレーキをかけてミシェールをとめた。

しかし、サラリーマン風のおじさんが

一生懸命、横断歩道を走っていた。

しかし、点滅がまもなく終わろうとしている。

間に合うのか。

すると!?

おっさんは、無事に横断歩道を渡りきったのだ!

「おっさーーん!」

おれは、感動の余り歓喜で声が出てしまった。

間に合うなんて、渡りきるなんて!

お腹の周りのコレステロールにも負けず

おっさんは、渡りきったのだ!

なんて、素晴らしい光景なのだろう。

信号の向こうには、おっさんが立ち止まり

ハンカチで、汗をぬぐっている。

その汗は、まさしく青春だった!

おれは、心の底から感動していた。

自然と、頬をつたう涙。

頑張れ、おっさん!

おれも、おっさんのような何事にも

立ち向かって行ける、大人になるよ!

おれも、涙を拭こうと

ポケットから、ハンカチを出そうとした。

しかし、ポケットの小銭が1枚

地面に落ちてしまった。

それを拾おうとした瞬間!?

アスファルトの割れ目から、雑草が生えているではないか!

「これが生命なのかー!」

おれは、ミシェールから降り

その場にかがみこんだ。

朝霜のせいか、葉の表面には

わずかな水滴がついていた。

「おまえも泣いているのか!」

この雑草も、生きる事の喜びに

今、打ち震えているのだ!

おれも、おまえも

この地球に生きているんだよ。

どんなに踏み潰されようが

這い上がって行く。

なんて、素晴らしいんだ!

これこそが、雑草魂なのか。

おれは、涙がとまらなかった。



今日は、なんて素晴らしい朝なのだろう。

信号が青にかわった。

おれは、また学校を目指した。

2009年2月24日火曜日

ミノ太郎。〜感動のフィナーレ〜

僕らが乗った皿が大きく傾けられた。

そして、僕らは2本の大きな棒で皿の外へと押し出された。

「今だ!」

僕は力いっぱいに叫んだ。

先に鉄板へと落ちたのはミノ吉だ。

「すごいぞ!ミノ吉!」

ミノ吉は、押し出された力を利用して

思い切り転がった。

並のミノではできない超人技だった。

「おれについて来ーい!」

ミノ吉の声が聞こえた瞬間、僕とミノ子も

ほぼ同時に鉄板へと落ちた。

そして、僕らは絶好のポジションへ向けて転がった。

そう、鉄板中央と際の丁度中間地点。

目指す場所は、落下する瞬間に決めていた。

「少し、力を加減し過ぎたわ!」

ミノ子の速度は、どんどん弱まっていた。

「頑張れ!諦めるな!」

僕は、もう絶対に諦めない事に決めたんだ。

3人そろって、胃袋の中へ行くんだ!

ふと、ミノ吉の事を思い出した。

「ミノ吉、速度を落とせ!」

あのままでは彼は、限界地点を超えてしまう。

限界地点。

あそこを超えれば、もう鉄板には戻ってこれない

限界ラインの事だ。

「ミノ太郎!止まんねーよー!助けてくれー!」

ミノ吉が、助けを呼んでいる!

しかし、僕にはどうにもできない!

「誰でもいい!誰かにぶつかって速度を落とすんだ!」

僕も必死だった。

3人揃ってじゃないと、何もかもが無駄になってしまう。

そう、僕らがまだ幼かった頃だった。

「絶対におれたち、同じ鉄板の上で美味しく焼かれて

食べてもらおうな!」

ミノ吉の言葉は、熱かった。

「私たち、これからもずっと一緒って事ね!」

ミノ子はポニーテールを揺らしながら遠くへ目をやった。

「僕たちの友情は、鉄板以上に熱いね。」

そう僕らの友情は、この鉄板の温度よりも

遥かに熱かった。

だからこそ、みんなが無事に美味しく食べてもらわなければならない。

「ミノ吉ー!諦めないでー!あの時の約束を忘れたの!」

ミノ子もあの時の約束を忘れていなかった。

「だめだ!もうだめだ!」

限界地点が、ミノ吉に迫っている。

「ミノ吉ー!」

「ミノ吉ー!」

僕と、ミノ子は残る力を振り絞って叫んだ。




ついに限界地点を超えた。

「みんなー、おれの分まで絶対に・・・」



「ミノ吉ーーーーー














「ミノ吉ーーーーーーーーーー

















あいつはとても良い奴だった。

誰よりも熱く、誰よりも仲間の事を考えていた。

あいつもミノ子に惚れていた事も知っている。

でもあいつは、3人の関係が崩れる事を恐れて

決してそれを口にした事はなかった。









「ミノ吉ーーーーーーー!」













「あー、お肉が落ちちゃった。」

「しょうがないよ。もう食べられないから、そこの皿に避けておきなよ」

「うん。わかった。」











僕はどこにいるのだろう。

自分の立ち位置がわからない。

そんな事を気にかけていられなかったからだろう。

まわりを見渡すと、どうやら絶好なポジションとやらに

自分の身を置いている事に、気がついた。

「ミノ子は!?」

遠くから声が聞こえる。

「ミノ太郎ー!」

「どこだー!」

煙で、声のする方が見えない。

「多分、鉄板の真ん中らへんだと思う!」

良かった、とにかく鉄板の上にいる事は確認できた。

「中央部分は、温度が急激に上がっているから

 焦げる前に、自分をアピールするんだ!」

焦げてしまったら、ミノ吉の二の舞になってしまう。

「アピールって、何すればいいの!?」

「恋はしたことあるか?」

「えー!?何、こんな時に!」

唐突な質問だったかもしれないが

今はそんな事を言っている場合ではなかった。

「いいから、答えて!」

「あるわ、一度だけ!実らなかったけど!」

「よし、上等だ!なら、その時のことを思い出すんだ。

 あの甘酸っぱい思い出を!」

「わかった、少し時間をちょうだい!」

煙りの勢いが増してきた。

いくら絶好のポジションにいたって

食べる当人が、気にかけてくれなければ焦げてしまう。

さっきから、男の方はつまらない話ばかりしている。

瓶底が、どうのこうのやら、

まんじゅうとみかんが、どうのこうのと。

そんな事よりも、今焼いている

目の前のミノに集中してくれ!

「ミノ太郎!初恋の事を思い出してたら

 なんだか恥ずかしくって、体が赤くなってきちゃった!」

僕の計算に狂いはなかった。

彼女が恥ずかしくなって、体をうす赤色に染める。

それこそが、絶好のアピールなのだ。

どのミノよりも、美味しそうに見えるはずだ!

その時だった!

「ミノ太郎!箸が!?」

煙の向こうに、かすかだが見えた。

ミノ子の晴れ姿が。

彼女は、女性客の箸につかまっていた。

「ミノ子ーーー、おめでとーーーう!」

僕は、まるで自分の事のように嬉しかった。

ミノ吉が果たせなかった夢。

それを今、ミノ子が叶えようとしている。

「ミノ太郎!今まで、ありがとう!

 本当に、ありがとう!」

「ミノ子ーー!」

彼女は、女性客の口の中へとほうりこまれた。

「熱いけど、このミノ美味しい!」

女の客が、言った。

「じゃあ、おれもひとつ頂こうかな。」

と次の瞬間。

男の方の箸が、僕の方へと迫ってきた。

僕もこれで夢を叶える事ができるんだ。

ミノ吉、おまえの分までおれは・・・。


ん!?

隣のミノが、箸で持ち上げられ男の口の中へと入っていった。

僕じゃなかったんだ。

とんだ、早とちりだった。

しかし、そんな呑気な事を言っている余裕も

正直なくなっていた。

もうすでに、僕の背中がじりじりと焦げ始めていた。

早く!早く!

今が、絶好の食べ頃なんだ!

気付いてくれ!僕に!

「そうなんだよねー、

なんだかんだ言って、おれはあいつに感謝しなきゃいけないなー。」

なんだかんだ言ってないで、早く僕を食べてくれ!

「うん、私もちょっとは感謝かな。

 ちょっと、個性が強すぎたけど。」

おい、ここはなんかの感謝祭でもやっているのか。

そんな事を言っている間にも、背中からじわじわと

焦げが迫っていた。

「あっ、そろそろ裏返さないと。」

そして、ようやく僕を箸が捉えてくれた。

僕はそのまま裏返された。

「あーあ、このミノ焦がしちゃった。」

すると男が言った。

「動物性の焦げは、ガンの原因になるから

 それもこっちの皿によけておきなよ。」

そして、その箸はまた僕を捉えた。

僕は、鉄板から追い出され

真っ白な皿の上へと移しかえられてしまった。

僕は、夢を叶える事ができなかったのだ。

すまない、ミノ吉。

君の夢を、僕は叶える事ができなかった。

僕の体は、時間とともに冷えていった。
















ガサゴソ、ガサゴソ。

変な音がする。

僕は、どこにいるのだろう。

次の瞬間。

僕は、何かと共に流れ落ちた。

そこは、店の前の道だった。

どうやら、ゴミ袋に入っていたようだ。

野良犬は、僕を無視して他の食い物をあさっている。

僕は、このままこの道の上で人生を終えてしまうのだろうか。


その時だった。

僕は何者かに、踏みつけられた。

そして次の瞬間、大きな音と共に

僕の横で、誰かが倒れた。

「イターイ!何でこんな所にミノなんかが落ちてるんだよ!」

「足下には、注意しないとな。

 おまえにいつも言ってあるだろう。

 足下をすくわれるような、柔な大人になるなよって。」

「こんなミノ、どっか行っちゃえ!」

僕は蹴飛ばされ、道の向こうに流れていた川へと落ちていった。

水の中は、冷たかった。

しかし、どことなく心地よい感覚だった。

これから、僕はどこに行ってしまうのだろう。

ミノ吉、ミノ子。

今まで、たくさんの思い出をありがとう。

そして、さようなら。













2009年2月23日月曜日

クロとシロ

土曜日の夜中。

おもしろいアニメがやっていました。

ついつい観てしまいました。

名前は聞いた事があったのですが

実際に観たのが、今回が初めてです。

作者は松本大洋さん。

タイトルは「鉄コン筋クリート」

ちなみにテレビで放映していたのは、映画です。

漫画では小学館から、全3巻が発売されており

映画では、主役のクロとシロの声優を

嵐の二宮くんと蒼井優さんがやってます。

あと他の役で伊勢谷友介さんも。

なかなかの豪華な顔ぶれ。

あと私、蒼井優好きです。




映画の予告編(もうだいぶ前の)貼付けておきました。!

もし良かったら、どうぞ!




ちなみに、久し振りに漫画を買ってみようかなと思い

今日、本屋に行って来ましたが置いてなかったので

注文してきちゃいました。

読んだら、感想文書きます!

という訳で、最近 大爆笑短編小説を書く気力が沸いてきません。

誰か、私にパワーを下さい!

最終回を控える小説が4作もあるので、大変なんです。

みの太郎とか。

でも今週中には、いくつかを終わらせてしまいたいですねー。

それで、新しい作品の執筆!

もう浮かんでるんです。

数人の、個性の強いキャラくん達が。

なので、みなさん気長に待ってて下さいね。

それと楽しみにしていて下さい!

それでは、おやすみなさい!




2009年2月22日日曜日

土曜日。

朝、五時半起き。

そして六時半に家を出発!
そんなワクワク、ドキドキの中、

1本の電話が。

今日のゴルフは雪で中止との連絡が!?

高速道路に入る前で、助かったのですが

すごくショック!

このまま家に帰る事は、できる訳ありません!

私の体は既に、ゴルフモード全開!

この熱い想いを、ゴルフボールにぶつけたい!


という訳で、朝7時過ぎ。

ゴルフ練習場へ。









ちょっと早すぎ!?

誰もいない練習場。

まだ、開店していませんでした。

仕方なく、一度家に帰り

ちょっと休んでから

朝8時開店と同時にひとり練習!

なかなか、早起きしての朝練も

悪くない!

けっこう、楽しむ事ができました!


しかし結局、まっつと12時から

コースを予約して、ゴルフを楽しんできました!

スコアは!?

この間のスコアよりも悪かった・・・。

ゴルフって、本当に難しいスポーツだなと

痛感させられた1日でした。

今後はあまりスコアの事は

気にしないで、地道にコツコツと

練習にうちこもうかと思ってます。

という訳で、日曜日に放送している

ガンダムも間もなく最終回。

それが終わってしまうと、

唯一の楽しもなくなってしまいます。

ちょっとセンチメンタルな私は、

明日も仕事、頑張ります!

それでは、おやすみなさい!


2009年2月20日金曜日

今日のところは。

今日は、ゴルフの練習で少し前に帰ってきました。

という訳で、風呂もはいったのでそろそろ寝ます!

土曜日は、コースに行きます。

調子がやや上がってきたので、頑張りたいと思います。

それでは、少し早いですがおやすみなさい!

2009年2月18日水曜日

46歳。

「本日のコースの、メインは子羊のステーキ フィレンツェ風です。」

柔らかい手つきで、男は私の前に皿を置いた。

そして軽やかな身のこなしで、向えに座る麗子の横に立ち

同じ手つきで、皿を置いていった。

「ごゆっくり。」

男はさっそうと席から離れて行った。

麗子は、私の部下。

仕事はでき、だからと言って

女性を捨てている訳でもない。

才色兼備という言葉は、この女性にこそ

ある言葉だと私はつくづく思う。

そんな彼女を、今日やっと誘う事ができたのだ。

今日は部下である麗子と一緒に大阪まで出向き

夕方には、東京へ戻って来た。

そして、その足で予約しておいた

世間では話題の3星レストランで食事をしている。

今日は、金曜日。

何かが起こりそうな予感だ。

というよりも、私には最終兵器があるのだ。

おっと、私の自己紹介を忘れておりました。

私は、某大手商社に勤務するサラリーマン。

東大現役合格だけあり、社内でも出世頭なのである。

そんな私も、今年で46歳。

隠している訳ではないが、妻子もいる。

それはもちろん、部下である彼女も知っている事だ。

しかし、今夜は彼女と食事をしている。

そして何より、妻には明日まで出張だと言って出て来た。

「いつも、こんなご馳走めったに食べないので

 すごく感動します!」

よし!彼女は感動している!

レストラン選びに、悩んだ甲斐があった!

「その肉には、このワインとの相性が格別だ。

 君もどうだ、もう1杯飲みたまえ。」

何とも自然に酒を勧められる、スマートな男とは

そう!私の事なのだ!

「あまり飲み過ぎると、ちゃんと帰れるか

 心配になっちゃうな。

 でももう1杯だけ、頂こうかな。」

イエス!イエス!

おー神よ!今日の私のこの力!

これは夢なのか、悪夢なのか!

「まー今日は週末なのだから

 ゆっくり、飲めばいい。」

さり気ない、優しさ攻撃。

このジャブは、かれこれ1時間打ち続けている。

そして、この時間になってようやく効いてきたようだ。

そう!恋の世界チャンピオンとは私の事なのだ!


そして、最後のデザートが運ばれてきた。

女性は、このデザートにめっぽう弱いのだ。

「わー、すごく美味しそう。

 私、本当に甘いものに目がないんです!

 だから、体型とか最近すごく気にしてるんですよね。」

リーーチ!

そう、女性はデザートに弱ーい!

私のデータに間違いはないのだ!

この展開は、望んでいた展開!

しかし、こうもうまく行くと自分でも恐ろしくなる。


私は、右ポケットに手を入れた。

例の最終兵器は、しっかりとポケットの中で

温まっていた。


これさえあれば、今日は・・・。


そして私は、右ポケットからそれを取り出し

彼女の前に置いて言った。

「今晩どうだい?」

決まった!

この台詞、昨日からずっと練習していたのだ!

「何ですか、この鍵?」

そう、この鍵こそが私の最終兵器。

彼女と、情熱の枕投げをするためにとった

超1流ホテルのスイートルームの鍵!

彼女の感動のボルテージは最高潮に!

そして始まってしまうのだ、

彼女と私の禁断の恋が!

「本当にいいんですか!?」

本当にいいんですかって、こっちが聞きたいぐらいだ。

でも彼女は、完全にこの話に乗る気である!

「私ここに1度、泊まってみたいって思ってたんですよねー。

 それに、今日は少し酔っちゃったから、すごく助かります。」

助かるも何も、私が彼女に救われているのだ。

こんなにうまく行くとは、正直考えてもみなかった。

先日テレビのドラマで、この手口を使っていた時に

私はこれしかない!と思った。

そう思ったら、やはり実行に移すものなのだ。

私は、勝ち取ったのだ!

ビクトリーを!

「じゃあ、すみません。

 遠慮なく泊まらせて頂きます。」

彼女はそう言うと、自分のかばんに鍵をしまい始めた。

ん!?

様子がおかしい。

「でも、一人でこんな豪華なホテルが満喫できるなんて

 本当に夢みたい。彼氏とか呼んじゃっても

 大丈夫かなー。」

私は、ひとつ重要な事を忘れていた。

才色兼備な彼女にもたったひとつ欠点があったのだ。

それは、天然という欠点。

しかし、その天然さがより一層のかわいらしさを出していたので

今まで欠点とは思った事がなかったが

ようやくそれが欠点だと気付かされた。

「彼氏も呼んで、楽しむといい。

 スイートルームだから、問題はなかろう。」

こんな上司いるはずがない。

部下とその彼氏のためにスイートルームを用意するなんて。


しかし、まだ問題があったのだ。

今日は出張だと、妻に言ってきたので

私の今日の宿がなくなってしまったのだ。

3星レストランを出たあとに

今日の宿探しをしなければならないなんて

この店の従業員たちは、想像もしないだろう。

しかし、探さなければならないのだ。

私、一人がゆっくりと休める場所を。





2009年2月17日火曜日

線香花火。

水面に反射した月灯りが、幻想的な色をして輝いていた。

それに見とれていた僕に、彼女は気付いた。

「ねー、きれいでしょ?」

線香花火の光は、小さくも力強かった。

そして、線香花火の穏やかな灯りに照らされた

彼女の横顔は、永遠という言葉を

信じたくなる程に、美しかった。

彼女は、夏のひまわりに負けないぐらいの笑顔で

僕に言った。

「一緒に、花火しようよ!」

僕は頷き、袋から1本の花火を取り出した。

ローソクに灯る炎を、花火の先へと移した。

線香花火よりも、勢いよく輝き始めた。

「すごーい!きれいだね!」

二人は、同じ花火をじっと見ていた。

その時、彼女は一体何を考えていたのだろうか。

今となっては、その答えもこの花火の炎のように

消えてなくなってしまった。

僕は、終わった花火をバケツの中に入れた。

バケツの中の水は、未だ月灯りを揺らしている。

「最後の線香花火は、二人で一緒にやろうよ!」

彼女は、袋から花火を取り出し

一緒に持ってといわんばかりの仕草で、僕を促した。

彼女の持ち手よりも下の位置に、親指と人差し指で花火を摘んだ。

そして、ロウソクから最後の炎をもらった。

「動いちゃだめだからねっ!」

花火を持つ彼女の指はとても細く、その爪は薄くピンクがかっていた。

大きな玉が、出来始め

そこから

パチパチ、パチパチと

火花が散った。

子供の頃にはわからなかった、

線香花火の柔らかな輝き。

そんな儚さが、僕と彼女の未来への不安が生まれてしまう。

こうして、彼女とずっと一緒にいられるのだろうか。

「あー!?

 落ちちゃったー。」

そう、終わりなんていつ来るのかわからないのだ。

気持ちが大きくなればなる程、

すぐに終わりが訪れてしまう。

玉が大きくなればなるほどに、落ちて終わってしまう

線香花火のように。

花火を終えた僕らは、境内に座り空を見上げていた。

彼女は、うちわを仰ぎながら言った。

「もうすぐ、夏も終わりだね。」

僕は、何も言えなかった。


そして1週間後、彼女は遠くに引っ越して行った。

新学期が始り、僕はまるで蝉の抜け殻のように

心に大きな穴をあけて、毎日を過ごしていた。

恋が生まれると、いつも見ていた景色が

まるで別世界に来たかのように色鮮やかに、

そして何もかもが輝いて映る。

しかし、恋が終わればその景色は一気に色褪せ、

セピア色をした孤独な世界に突き落とされてしまうような

僕はまるで心のない人形になった感覚だった。

そして僕は今でも、線香花火を見る度に

あの時の、無邪気な彼女の横顔を思い出す。







笑いとオチがなくて、ごめんなさい。

BY TOFU。









2009年2月16日月曜日

さぼりがちな僕。

こんばんは!

今日はとても寒かった!

凍ってしまうんじゃないかと思うぐらいに。

早く春よ、来い!

という訳で、月曜日が終わろうとしております。

明日は火曜日。

これがずっと続くんですよね。

月、火、水、木、金、土、日てな具合で。

たまにそれがずれたりしたら、

おもしろいのになと、最近考えます。

例えば、今日は土曜日で明日は日曜日だと思っていたら

急に月曜日がやってきたり。

それか、ちょっとでしゃばりな日曜日が

1週間に3度訪れたり。

そんな幸せな事はないか。

まーとにかく、人が生きるという事は

規則性のある時間という流れの繰り返しなのです。

単調な生活、有意義な生活。

このふたつの狭間は、なかなか見つける事ができませんよね。

まーいつもの下らない短編小説も単調な生活の中での

繰り返しのひとつなのかもしれませんね。

でも、私は書き続けます!

誰が何と、言おうと!




そんな大きな事、言うぐらいなら

2日間も小説さぼるなよと言われそうですが、

そう言われる前に今日の所は

フェイドアウトしようかと思います。

散らかした小説たちの後処理に追われている

私でした。

それでは、さいなラッキョ☆


2009年2月15日日曜日

ども!

こんばんは!

日曜日も、もうじき終わりますね。

なんか、本当に早い。

時間が過ぎてしまうのが。

本当は、小説を書こうと思ってたんですが

ガンダムを見たり、寝る準備をしていたら

あっという間にこんな時間。

そういえば、来週の土曜日は

ゴルフに行ってきます。

スコアは、前よりも良くなればいいのですが

不安要素もいっぱいあって、

今の内から少し緊張です。

あと、新しい長編小説に挑戦しようか

今、悩んでいる所です。

でも、タイトルは決まってるんですよ!

ちなみに

「渡る世間は、おぎやはぎ。」

そう、それは壮絶なヒューマンドラマ!

とあるラーメン屋を中心とした様々な人間模様を描写。

そして、主役はおぎやはぎ!




って言うのは、嘘です。

そんな計画すらありません。

今は、細切れ短編小説に少しはまっています。

みんなからは、

「文章が、長過ぎる!」

というクレームが多数、寄せられておりますが

とりあえず、聞いてないフリしときます。


あと今日は、トミー家で夕飯をご馳走になりました。

そんなこんなで、

明日から、みんな頑張ろー!

A A O!

これ流行りそうです。

エイ!エイ!オー!の

ハイカラバージョン。

ナンシーは言いました。

Do you know AA0?

(あなたは、AAOを知っていますか?)

すると、ピエールは答えました。

Yes!I do!

(ああ!もちろんだよ!)

I love AAO!!!

(僕は、AAOという言葉の響きから、何もかも全てを愛しているんだ!

 この言葉を考えた、TOFUにはすごく感謝している!

 これは正に、魔法の言葉!

 この言葉を、口にするだけで僕は幸せになれるんだ!)

 
みたいな感じで、グローバル展開。


まー、そんな感じで

みなさん、おやすみなさい!


急行列車4

「いやいや、僕とした事が失礼。

 レディに声をかける前にまずは

 名前を名乗らなければならなかったね。

 僕は、平 勉三。

 学校では、HEY 勉三と呼ばれててねー。

 人気があるんですよ、すごく。」

なんだ、あの口調は!

まるで、50過ぎのおっさんではないか!?

勉三という名の男は、相手によって

キャラを変えてしまうとでもいうのか。

やはり、あの瓶底眼鏡の秘めた力を甘くみてはいけない。

「明日はね、早朝から模擬試験があるから

 今日は、ホテルで1泊するんだ。

 もし君がよければ、今夜僕の部屋で

 情熱の枕投げでもどうかな?」

おいおい、それを言うなら

僕の部屋で、モーニングコーヒーだろ!?

あいつは、どこかピントがずれている。

「いや、私。

 本当に困るんです。」

そうだ、あんな奴に絡まれて

嬉しい人間等、この世にいるはずがない。

「そうか、そうか。

 君は、僕の素性を非常に知りたがっている。

 なぜなら、君は恋に臆病なティンカーベル。

 そんな心の傷に、そっとマキロンで消毒してあげるが

 この僕なんだよ。

 ちなみにこの僕は、

 東大合格、間違いなしと言われる

 誰もが羨む、高校2年生なんだ。」

だから何だっていうんだ。

こいつの考えている、話の終着駅が全く見えない。

ただ世間話をしたいのか

本当に隣に座る女性を口説きたいのか。

でも、やっぱりマキロンはない。

口説き文句にそんな単語は絶対に必要がない。

「私、そういうのじゃないですから。

 もう本当に構わないで下さい。」

彼女は何て、しおらしい女性なんだ。

今時の子なら、怒鳴って怒る所だろう。

しかし、彼女の断り方にはどこかしら

女性の優しさを含んでいるように感じる。

彼女を助けてあげたい。

なんとか、あの害虫から救ってやりたいと

心の底から思い始めた。

すると、さっきまで口説き散らしていた

瓶底眼鏡の様子が変わった。

「なんか、さっきつぶつぶ入りのオレンジジュースを

 一気に飲み過ぎたせいか、トイレに行きたくなっちゃたなー。

 おーっと、レディの前でおトイレは禁句だったね。

 ちょっと、僕はそこまで木イチゴでも摘み取りに行って来るよ。

 君だけのピーターパンは、ネバーランドからすぐに戻るから

 少し辛抱して、待っててね!」

そう言いながら、あいつは席を立って歩いていった。

何が木イチゴだ。

ただトイレに行くだけだろ!

極めつけは、ネバーランドが何だ。

おまえの恋のお相手探しの旅こそがネバーエンドだ。

そして僕は立ち上がり

あいつがいない隙を狙って、彼女に話かけた。

「おれは君を助ける。

 次の駅に着く前のアナウンスが流れたと同時に

 おれは君に話しかける。

 君は、おれの話に適当に合わせるんだ。

 わかったね?」

彼女は、驚いた表情を見せたが

次第にその表情が柔らかくなっていくのを

僕は感じていた。

そしてそれと同時に、僕に稲妻が走っていた。

そう、人目惚れをしてしまった。

今まで、一匹オオカミで生きてきたおれは

初めて、側にいて欲しいと思った。

おれはあいつが戻る前に席に戻った。

それから5分ほどして、あの瓶底眼鏡は戻ってきた。

「お待たせ!

 寂しかったよね。

 ごめん、こんなかわいいレディを

 ほっておいて、僕はどうかしていたよ。

 素直に、アイム ソーリー。」

おいおい、それはチェッカーズの曲のタイトルだろ。

しかも、高校生が何でそんな古い曲を知っているんだ。

こいつの日常生活が少し気になってきた。

「次は、学園前、学園前。」

社内アナウンスが流れた。

おれは立ち上がった。

まずは自分の荷物を上のネットから下ろした。

そして、

「あれ!?長原ー?」

おれは彼女に声をかけた。

彼女は一瞬驚いていたがすぐに

「あっ、はい。」

と答えてくれた。

「おれだよ!塚本だよ!

 高校の時に同じクラスだった!」

何となく彼女は、話が読めたのか

おれの小芝居に少しずつ乗り始めた。

「塚本くん!?

 久し振り!

 元気にしてた?」

「ああ、元気にしてたよー。

 いやー懐かしいなー。

 それより、次の駅で

 長山と待ち合わせしてるんだけど

 もし時間があるなら少し顔出せよ!

 あいつ、絶対に喜ぶと思うからさー。」

その会話の途中も、瓶底眼鏡は呆気にとられながら

おれと彼女の顔を、行ったり来たりして見ていた。

「うん。行く、行く。

 なら私も次の駅で降りるよ。」

よし、これで完璧だ。

後は、彼女と一緒に電車を降りるだけだ。

初めから、あてのない旅だったから

どこの駅に降りようが、おれにとっては

さほど、大きな問題ではなかった。

そして、電車は駅に着いた。

彼女は、あの瓶底眼鏡の前をまたいだ。

「すみません。失礼します。」

そして彼女と二人で、あの瓶底眼鏡を背に

通路を歩いていった。

でも、背中が何故かすごく熱く感じた。

でも、その原因はすぐに想像がついた。

あいつの視線に決まっている。

オー マイ スイート エンジェール。

そんなような言葉が、後ろから聞こえたような気がしたが

おれは振り返らなかった。

そして二人は、駅の改札を抜けた。

「君、大丈夫だった?」

彼女をきちんと前にして思った。

やはり、とても綺麗な女性だ。

「本当に有難うございました。

 もう一時はどうなる事かと思ってました。

 本当に何てお礼をすればいいのか。」

なんて律儀な女性なんだろう。

今時の子にしては、珍しい。

グルグルグル。。

彼女は一瞬で、白い頬を真っ赤にした。

「お腹、空いてる?」

おれは彼女に聞いてみた。

「はい、今日はお昼から何も食べていなかったので。」

ふと向こうを見ると、黄色い看板がやけに目立つ焼肉屋があった。

すると彼女も、おれと同じ方向に視線を向けた。

そして察しがついたのだろう。

「もし、良かったら?」

「はい!喜んで!」

そしておれたちは、黄色い光の放たれる方へと歩いていった。







ミノ太郎2

「ミノ吉もミノ子も、さっき僕が言った事わかったね?」

「大丈夫!」

ミノ子は少し緊張した面持ちだった。

「皿が傾けられた瞬間が、勝負だろ?」

ミノ吉はやる気たっぷりだった。

僕らの皿は今、テーブルへと運ばれている。

「おまちどうさまでした!上ミノになります!」

僕らの皿は、テーブルに着地した。

しかし、テーブルに着地する瞬間に

僕は愕然とした。

ここの焼肉屋の鉄板は、

テーブルの上にコンロを置いただけの

昔ながらのタイプのものだった。

今のお店のほとんどは、テーブルに内蔵されているタイプだ。

しかし、老舗の焼肉屋ならこのタイプは断然に多いことは

噂には聞いていた。

しかし、そのタイプの違いは僕らの命運を分ける程

大きな事なのだ。

なぜなら、テーブル内蔵タイプの鉄板なら

いくら転がり過ぎても、壁に当たるだけだが

テーブルにただ置かれただけのコンロタイプは

転がり過ぎたら、真っ逆さまにテーブルへと

下手したら床へと落ちてしまって、

美味しく食べてもらうどころか

焼いてもらえない可能性だってあるのだ。

これは、かなりやばい状況になってきた。

「なあ、残念なお知らせがあるんだ。」

僕は、重い口を開いた。

「なんだよ!もうすぐ本番だぜ!」

やる気たっぷりだったミノ吉が

不安そうに言った。

「この土壇場で、何!?

 もう変な事言うのはやめてよー!」

ミノ子もあいつと同じ、不安げな表情で僕に言った。

「これは大切な話なんだ。

 だから、きちんと聞いて欲しい。」

「マジで何だよ!」

「さっき話していた、目標めがけて転がるっていうのは

 今回はよした方がいい。」

今まで話した事の全てを、自分自身で全否定した形になった。

「ちょっと!?今更、何!」

ミノ子の口調は更に強くなった。

「そうだよ!おれはおまえが何を言ったって絶対に転がるからな!」

二人のボルテージは、上がる一方だった。

なんとか二人を落ち着かせて、話を聞いてもらわないと

取り返しのつかない事になってしまう。

「おれは絶対に、真っ黒焦げはごめんだからな!」

ミノ吉の決意は、相当に固かった。

「そうよ!松崎しげるなんて、私もまっぴらよっ!」

そんな二人をなだめるように、

僕は、ゆっくりとした口調で話し始めた。

「上、見上げてみてよ。

 これは、コンロタイプの鉄板なんだ。」

「だから、何だって言うんだよ!」

ミノ吉の口調も、だんだん強くなってきた。

「このタイプの場合、

 もし万が一、転がり過ぎたらどうなると思う?」

僕は、二人の目を交互に見ながら問いかけた。

「転がりすぎたら・・・

 落ちるわ、このテーブルの上に。」

「そうだ、下手したらテーブルも超えて更に下にある

 床に落ちてしまう。」

僕は一度深く息を吸い込んでから、二人に言葉を投げた。

「もし、そんな風に落ちてしまって汚れた僕たちは

 どうなると思う?」

二人は、互いに目を合わせてすぐに反らした。

やっと事の次第を、理解してくれたようだ。

二人は口を揃えて言った。

「食べてもらえなくなる。」

「そう、正解。

 落ちてしまった瞬間、僕らはスタートラインにさえ立てなくなる。」

二人は静まり返ってしまった。

そしてミノ吉は小さな声で、僕に問いかけた。

「なら、どうしろっていうんだ?」

「もう運にまかせるしかない。

 悪あがきはしない事だ。」

ミノ子は今にも、泣いてしまいそうだった。

そんな彼女を見て、胸が痛んだが

事態が事態だけに、予断を許す訳にはいかなかった。

「もし、上手く転がれる自信があればどうなんだ?」

ミノ吉は、しっかりと僕の目を見ながら言った。

「あまりお勧めはできない。

 力加減が極端に難しいからだ。

 並のミノには、とうてい難しい。

その言葉を吐き捨てた僕に、二人の目の色が

一瞬で変わった。

「俺たちは、上ミノだぜ!

 選ばれた上ミノなんだ!」

「そうよ!私たちは、並のミノなんかじゃない!

 諦めるのは早いわよ!

 ミノ太郎、私たちなら絶対にできる!

 いや、成功させるの!」

二人の言葉は、僕の心を突き動かした。

そうだ、僕らは上ミノなんだ。

「よし!やってやろう!」

僕は、二人にそう言った。

すると二人は

「頑張ろう!」

と答えてくれた。

「でも、絶対に力加減には細心の注意を払う事!

 これだけは、絶対に約束して欲しい!」

僕の願いは、神様に届いてくれるのだろうか。

テーブルに座っているのは、若い男女の

カップルらしき二人だった。

今はまだ、僕らより前に着いたホルモンに夢中のようだ。

しかし、男の方はさっきからくだらない話ばかりしている。

僕としては、もっと焼肉に集中して欲しかった。

話に夢中な人程、すぐにお肉を真っ黒焦げにしてしまうからだ。

「あれはないよね。おれもびっくりしたもん。

 急に君の隣に座っちゃうんだからさー。」

男の方は、本当に話に夢中な様子だった。

でも、仕方がない。

僕らは、食べてくれるご主人様を選べる訳ではないのだから。

そして、とうとう女の方が男に口火を切った。

「そろそろ、ミノも焼いちゃっていい?」

そして男は、スタートのホイッスルを鳴らしたのだ。

「あー、もう入れちゃおうか。」

これが、正真正銘の本番だ!

僕らは、この瞬間のために生まれてきた。

僕の胸の鼓動は、今までにないぐらいに高鳴っていた。






2009年2月14日土曜日

ミノ太郎。

僕は、ミノ太郎。

そう、僕はミノなのだ!

焼肉屋さんで、みんなに美味しく食べてもらうという

大きな使命を背負って生まれてきた。

今日は、とうとうその時がやってきました。

そして、とうとう注文が来た!

上ミノ1人前!!!

「おい、おい!

 とうとう来ちゃったぜ!
 
 ミノ太郎!

 俺たちが今まで生きてきた集大成だ!

 緊張する〜。」

ミノ吉は、とても嬉しそうだった。

「ねー、鉄板の上ってすごく熱いって聞いた事があるんだけど

 本当に大丈夫かなー。

 なんか、今になってちょっと心配になってきちゃった。」

ミノ子は、ミノ吉とは反対に心配そうな表情を見せた。

ミノ仲間でも、ミノ子はマドンナ的な存在だった。

僕も、彼女に夢中になった男の一人である。

「でも、僕は鉄板の上は温かくてすごく心地いいって

 聞いた事があるけどね。」

僕は、ミノ子の心配を少しでも和らげてあげたかった。

「でもさー、もし万が一だぜ。

 鉄板の隅っこで、ずっと食べてもらえなくって

 真っ黒焦げになったらどうする?」

ミノ吉は、またミノ子の心配要素を話に持ち込んだ。

さっき僕が、安心させたばかりなのに。

「大丈夫だよ。

 まずは鉄板にのせられた時の場所取りが肝心なんだよ。

 鉄板の真ん中にいても、火が強すぎてすぐに焦げる。

 けど、隅ッ子すぎても忘れられて

 気がつかれた頃には、真っ黒焦げ。

 そこで!

 真ん中と隅っ子のちょうど中間部分を

 陣取れるかが、鍵になる。」

これでも、僕は勉強熱心な方で、

この手の知識については

誰にも負けない自信を持っている。

「でもさー、落ち着いて考えてみろよ。

 俺たち、動けないんだぜ・・・」

ミノ吉の言葉をかぶせるような勢いで

ミノ子が言った。

「そうじゃん。

 私らはお皿から、鉄板に移し替えられるだけだから

 場所を陣取るなんて絶対に無理じゃない。

 それとも運にまかせろとでも言う気?」

ミノ子の視線は熱くなっていた。

でも、この質問を僕は待っていた。

「そこで!

 僕らは動く事はできない。

 しかし、お皿から鉄板に移し替えられた時の

 力をうまく使って、転がることはできる!」

すると、二人は一瞬に目を輝かせた。

「そうか!

 箸で鉄板にのせられる時の力を

 俺たちが逆に利用するって事だな!」

「うん!それならできる!」

二人は笑顔を取り戻した。

「で、ここで僕が一つコツを教えてあげよう!」

「コツって何だ?」

「何?早く教えてよ!」

焦る二人をなだめながら

僕はゆっくりと口を開いた。

「さっき言ったよね。

 良い場所を陣取ればいいって。」

「おい!もったいぶらずに早く教えろよー!」

「そうよー!いつも意地が悪いんだからー。」

二人の焦りもそろそろ頂点に達してきたようだ。

「まずは、皿を上げられる。

 そして皿を傾ける。

 その後に、僕らは鉄板へと投入される。

 今2番目に話した、皿を傾けた瞬間が肝心なんだ。

 その瞬間に、自分の理想とする絶好の場所を

 見極める。

 そして、鉄板に投入された瞬間に

 その場所めがけて、転がる!」

僕は、得意げに話した。

「そっか!皿が傾いた瞬間なら、鉄板の上が

 俺たちにも見えるからな!」

「で、後は目的地にめがけて転がればいいって事ね!」

二人は、すっかり元気を取り戻していた。

「そう!これで僕ら三人、美味しく食べてもらえるって事!」

「おまえは本当にすごいよなー!

 心の底から尊敬するよー!」

ミノ吉の、僕を見る目が変わったような気がした。

「心の底からって、心は心臓よ!

 私たちは胃袋!」

ミノ子は、元気のいいツッコミを入れた。

「そんな固い事、言うなよー!」

穏やかな時間が、三人を温かく包みこんでくれた。

「おっ、そろそろ本番みたいだぜ!」

気がつくと、目の前に大きなお皿が置かれていた。

そこに次々と、僕の知らない奴らが盛られ始めていた。

次は、僕らだった。






2009年2月13日金曜日

あっ!?

そういえば、

今日の、のほほん工房はお休みさせて頂きます。

楽しみにしてくれていた、あなた!

ごめんなさい。

ゴルフの練習が、長引いてしまって。

今から、風呂に入って寝ます。

それでは、おやすみなさい!

2009年2月11日水曜日

YUEN'TO

今日は、ある商品をご紹介したいと思います。






















これは何でしょう?

正解は、シュレッダーです。

前までは、書類などを捨てる時

毎回、毎回、手で破いてたので

それだけで一苦労。

別に私の個人情報を見たい人なんて

いないと思うのですが

何となく、細かくして捨てないと

気持ちが悪い感じがするんですよね。

ちなみにこのシュレッダーは手動。

右から出ているレバーを回して

切断してくれます。

このレバーをしまえば、ただの白い箱。

デザインもかわいくて気に入っています。

ちなみに買った当初は、自動だと思い込んでいて

帰って開けてみたら、手動と気付き

少しがっかり。

確かに価格は¥3,000後半で

自動にしては少し安いなと思ったんですよねー。

だって、amadanaの自動のシュレッダーは

¥20,000弱。

毎日、活躍してくれる商品ではないのですが

掃除の時は、非常に重宝してくれる事

間違いなし!

という訳で、

夢の のほほんネット タカダがお送りしました。

それでは、おやすみなさい!



2009年2月10日火曜日

急行列車3。

「間もなく、公園前駅、公園前駅でございます。」

社内アナウンスが流れた。

「やだー、もう私たち降りないと。」

たえ子が、残念そうな表情で言った。

「ビョンちゃんと、もうお別れなんて

 本当に寂しい!」

隣に座った女が言った。

もう彼女の名前も忘れてしまった。

そして彼女たちは、荷物をまとめた。

一通りの作業が終わると、

紙とペンを取り出して、何やら書き始めた。

その紙とペンは、3人にまわった。

書き終えたたえ子は、

「はい、ビョンちゃん。」

と1枚の紙を差し出してきた。

そこには、何とも恐ろしいものが

書き記されていた。

そう、それは彼女たちの

携帯番号とメールアドレスがメモしてあった。

おれはとりあえず、

「有難う。」

とだけ言っておいたが

その表情は、完全にひきつっていた。

電車は、駅に着いた。

「じゃあね!ビョンちゃん!

 連絡待ってるからね!」

3人は、声をそろえておれに言った。

「それじゃあ。」

やっと彼女たちが、去ってくれた。

これからが、本当のおれの旅が始める。

すると、彼女たちと入れ違いに

一人の女性がはいってきて

あの瓶底眼鏡の前に座った。

その女性を食い入るような眼差しであいつが見ている。

すると瓶底眼鏡は、荷物をまとめて

急いで、後方車両の方へと

フェイドアウトして行った。

とにかく、やっと平和な時間が訪れて

おれはホッとしていた。

その平和な時間も、あっという間だった。

瓶底眼鏡が後ろから戻って来た。

そして、

「ここか、ここか。

 あっすみません。」

と言って、さっきの女性の隣に座った。

あいつは今、乗り合わせてたまたま

彼女の隣の席の切符を持っているかのような

演技をして、自然にあの女性の隣の席を

勝ち取った。

なんてずうずうしい奴なんだ。

「君、素敵な目をしてるね。

 その瞳に僕は吸い込まれそうだよ。」

また始ったぞ、意味の通じないくどき文句が。


やっと平和な時間が訪れたが

一番やっかいな奴は、あの瓶底眼鏡だったようだ。

おれの旅は、本当にどうなってしまうのか。




2009年2月9日月曜日

エリーとサラリマーン

おれは、高柳 耕一。

N山商事に勤める、言わばエリートサラリーマン。

おれが言うと、嫌みな感じに聞こえるが

周りがおれの事を、そう呼ぶのだから仕方がない。

おれは、仕事にもオシャレにも抜け目がない。

髪からはシャンプーの匂い。

おれが歩く度に、香水の匂いがほのかに香る。

そしてプレゼンでは重役どもを、釘付けに。

会議では、袖口から見せるエルメスのカフスが

女社員たちの心を奪う。

午前中は、鳴り止まない電話に対応し

午後は、取引会社へ出向き

夜は資料の作成。

そんなおれには、秘書が1人ついている。

川上 恵理子

26歳の派遣社員だが

仕事にも真面目で、

とにかく一生懸命さの伝わる子だ。

そんな彼女だが。恐らくおれに惚れている。

なぜなら、ふと目をやるといつも彼女と目が合う。

そう、彼女はいつもおれの事をみているのだ。

彼女にとっては、おれは高嶺の花なのだろう。

なぜなら私は、エリートサラリーマンなのだから。




私は、川上 恵理子。

N山商事に勤める派遣社員。

主に私の業務は、高柳 耕一という

社員の秘書をやっています。

高柳に付いて、もうすぐ1年。

あいつの仕事のできなさに

毎日、怒りを覚えています。

何の結果も出ない電話を

毎日、長々としており、

あいつへのクレームの電話が

毎日、鳴り止む事はない。

客先に出向いても、何の収穫もないまま

バカ面して、帰ってくる。

そんな、仕事の遅いあいつの

資料作りは結局、夜になってしまう。

残業する事に対しては、文句は言わない。

けど散々、残業してつくった資料は

いつも上司から、ボツをくらって

最終的にまとめるのは、私の仕事。

その資料をつかってのプレゼンでも

モジモジして、本当に気持ち悪い。

そんな不気味なあいつの事を

重役はいつも物珍しそうに見ている。

まーでも、仕事ができないだけならともかく

更にあいつの体臭が本当に臭い。

髪は、整髪料なのか脂でてかってるのか

わからないような感じだし

何よりも体臭が臭い。

それを隠すために使っている香水なのか

そのチョイスも最悪。

それに袖口から見せるカフス。

どこのメーカーなのかわからないけど

Hという文字が、彫られていて

みんな、変態カフスと呼んでいる。

それにあいつは、パソコンの画面をみながら

いつもニヤニヤして気持ち悪い。

怖いもの見たさで、ついつい見てしまうが

それであいつと目が合ってしまう時には、

寒気がするくらい、ぞっとする。

だから同僚の友達は、あいつの事を名前で呼ばない。

いつもみんなはサラリーマンと呼ぶ。

名前すら呼ばれない。

ちょっとかわいそうな気にもなるが

自業自得だと思う。

ちなみに私は、みんなからエリーと呼ばれている。

だから、高柳と一緒に帰社すると

いつもみんな、

「エリーとサラリーマンが、帰ってきた。」

と言う。

そんな私も、もうすぐ27歳。

こんな奴の秘書は、早く卒業しなきゃ。





2009年2月8日日曜日

名古屋球場のそば。

昔、賑わっていた名古屋球場。

今は、中日ドラゴンズの練習場として

使われています。

その周辺は、全盛期よりひっそりした感じに。

個人的には、名古屋球場といえば

TUBEのコンサート!

行ったことは、ないんですがね。

で、そのすぐそばにある

露橋小学校。

さらにその向かえにある駄菓子屋が

今日の主役。

その駄菓子屋には、名物おばあちゃんが

そばせんを焼いてくれます。

そして、今日は

そのそばせんを、堪能してきました。

いただきまーす!



























トミー家の、かわいいダンボちゃんとそばせん。

せんべいの程よいパリパリ感が

中にはいった、たまごが絡んだそばのソース味を引き立てます。

最高にうまい!

今日も、たくさんの子供達で賑わっていました。

みなさんもたまには、駄菓子屋やそばせんを

頬張りながら、子供心にかえるのも

いいのでは!?

それでは、おやすみなさい!



2009年2月7日土曜日

祝6000件突破☆

ついにこの日が来ました。

そう、私は本日 2月7日をもちまして

30歳になりました。

アラサーの真っ最中という解釈で宜しいかと。

心はまだ、18歳ですが社会的には30歳。

そんな、ピーターパンな私は

ミッドランドへ。

大好きな、ねのひへ行き

ちょっと贅沢なランチしました。





この大皿と、ご飯に具沢山な赤出しがついて

1500円程度。

ちなみに、見た目以上に満腹くんになります。

女性には、少し量が多いと感じてしまうと思いますが

私の母親は、全部たいらげました。

さすがですね!

母は強し!です。

夜はトビウオの焼いたものや

お刺身に鯛飯といった

知多半島の師崎港で上がった新鮮な魚君を

堪能した、とてもグルメな1日でした。

ちなみにまだしばらくは

脂っこいものや刺激物は食べられないので

最近、もっぱら和食中心の生活です。

でも、食べられるだけで幸せ感じる

青春まっただ中の30歳。

最近、短編小説にはまっている30歳。

そう!

30男のマイブームは、短編小説。

ちょっと、文章ばかりで嫌気がさしている方も

大勢いるかと思いますが、

私が飽きるまで、もう少しお付き合いくださいねっ!

ちなみに、本日 私の誕生日ですが

もう1つ、嬉しいお知らせが!?

そうなんです!

皆様のおかげで、こののほほん工房の

アクセス数が6000件を突破いたしました!

皆様のおかげでございます!

全国からの熱い声援は届いていますよっ!

これからも、日々精進して行きたい次第でありますので

今後とも、のほほん工房を宜しくお願い致します!

それでは、みなさん!

また明日!

おやすみなさい!




2009年2月5日木曜日

走れ、勉三くん!

「お〜寒い。」

なんでこんな日に、マラソン大会なんだ。

僕は、教室でお授業を受けていた方がずっと将来のためになる!

しかも、こんな体力勝負な野蛮で庶民的なスポーツは

僕は絶対に、認めないぞ!

「よーし!始めるぞー、みんな並べー!」

体育の筋太郎先生が、一番張り切っている。

「位置に着いて!

 よーい!

 パッーン!」

乾いた音と共に、一斉に走り始めた。

「イタッ!イタタタタッ!痛い!」

後ろから、みんなに押されてこけてしまった。

「もーう、ひどいよー。」

僕は、とりあえず走り始めた。

出だしからの転倒で、順位は最下位だった。

「はあ、はあ、もうだめだ。」

まだ、始って1分も経っていない。

「あー休みたい、疲れたー。」

そんな時、スレンダーな後ろ姿が目に飛び込んで来た!

「あっ、浜田 香苗ちゃんだぁ!」

最終集団に紛れて走っていた彼女を僕は見つけてしまった。

これぞ、運命!

途端に、勉三の走る速度は増していった。

そしてあっという間に、最終集団に追いついてしまった。

そして、彼女と並んで走った。

「ねえ、このままコースアウトして

 僕らピットインしようよー。

 二人だけの孤島、

 ゴー トゥ ザ ベンゾー アイランド!」

今日も決まった!

今は別々に走っているけど、

これでこれからは彼女との、二人三脚の人生が始るぞ!

「ねー、勉三くん。

 前の集団に、水内さんがいるよ。」

!?

本当だ!

そう!水内 美樹ちゃんこそが僕の探し求めていた

マイ スイート ハニーなのだ!

「マイ ミッキーー!」

最終集団を抜け、

たちまち彼はその前の集団に追いついた。

「ヘイ!ミッキー!

 僕と美樹ちゃんの二人の未来について

 この後、ゆっくり話し合わない?

 子供が何人、欲しいだとか

 美樹ちゃんの親に挨拶もまだしてないし。

 そのところを、踏まえてさー!」

彼女は、走りながらチラッと僕の方を見た。

うーん、素敵な流し目☆

もう僕は彼女の虜ロール!

「ダメなの。」

「えっ!」

「私の親、瓶底眼鏡が苦手なの。

 だから絶対にだめ!」

二人の間には、親という名の障害があった。

まるで二人は、ロミオとジュリエット!

禁断の恋だからこそ、燃え上がってしまう恋の炎。

「あとついでに言っておくけど、

 私があなたを生理的に受けつけないの!

 だから、あっちいって!」

彼女はわざと僕に冷たくして

結ばれる事が困難な二人の運命を呪っている。

なんて優しい心を持った女性なんだ!

僕は、乗り越えてみせる!

彼女と二人ならば。

どんな高い壁だって!

「!?」

「あっ、彩花ちゃんだぁ!」

先頭集団を走るのは、佐藤 彩花ちゃん!

僕の心を惑わす、いけない小悪魔ちゃん!

僕が、そんな彼女の小悪魔ちゃんを、粛正してやるー!

「僕のエンジェルーー!!!」

トップスピードにのった、勉三は

次々と、ごぼう抜きを見せて

ついには先頭集団に追いついてしまった。

「あーやかちゃん!

 旅行行くなら、海外がいい?国内がいい?

 それとも僕が好き?」

彼女は僕の方を見ようとせず、真剣に走っていた。

彩花ちゃんは、やりはじめたら止まらないタイプの女の子だな。

彩花ちゃんが僕と付き合ったら、夢中になりすぎて

すぐ僕に嫉妬しちゃいそうだなー。

うかつにクラスの友達の女子と話してるとこをみられたら

すぐにふくれちゃう。

でも、そんなソー キュートな所もまるごと

僕の愛で包みこんでやるのだ!

「君と僕の人生のプロローグは

 今日から?明日から?」

すると彼女はこっちを見てこう言った。

「もうすぐゴールなんだから、邪魔しないで!

 変態!」

もうすぐゴール?

この過酷で僕の大嫌いなマラソン大会も

終わりに近づいている!

ラッキー☆

ふとゴールの方に目をやると

ゴール地点でテープを持っているのは

理科の美咲先生ではないか!?

彼女こそ、歳の差を超越した

真実の愛。

つまりトゥルー ラブ!

もうよそ見はしません、先生!

これからはあなただけを、しっかり見続けます!

「美咲せんせーい!」

勉三は、一気にラストスパーとをし、

ゴールへと向かっていった。

「マイ スイート エンジェール!」

美咲先生に、近づこうとした瞬間

!?

美咲先生の張り手が、勉三の頬にメガヒット!

それと同時に勉三は、ゴールした。

そしてゴールした、勉三に

順位の自分の書いた紙が渡された。

「もーう、痛かったなー。

 先生はちょっと暴力的だけど

 二人でいる時はけっこう甘えんぼさんタイプなんだろうなー。」

さっき手渡された紙を見ると、2位と書かれていた。

僕は、勉強ではいつも1位なのに!

誰だ、1位の奴は!

ふと向こうに目をやると

人だかりができていた。

しかも女の子ばかりだった。

少し近づいて、見てみると

隣のクラスの相沢という男のまわりを

女子が取り囲んで、黄色い声を上げている。

「相沢先輩、1位なんてすごーい。

 私、また一段と好きになっちゃいました!」

「本当にかっこよかったです。

 相沢先輩!」

あいつが1位か。

成績では、あいつはいつも2番のくせしてー!

それに僕のエンジェルちゃんたちを独り占めしやがってー。

よーし、相沢 まこと。

おまえの名前、しかと覚えておいてやる!



新たなライバル出現に、

どうする!?

勉三!







2009年2月4日水曜日

急行列車2

おれは人生と言う名の、

孤独なひとり旅に出たはずだった。

しかし今は、おばちゃん3人と共に電車に揺られている。

本当なら、窓に映る夜の光をみながら

おれという人間をもう1度、

見つめ直すはずだった。

「ビョンちゃん、どうしたの?

 浮かない顔しちゃって!」

向かえに座るたえ子が言った。

「私たちみたいな、酸いも甘いも知った

 大人の女を目の前にして、

 照れてんのよー!」

斜め前に座っている、女が言った。

「もーう、そうなのー。

 よし子さんがそんな事、言うから

 私なんだか、意識しちゃうわ!」

隣に座る、みつ代が言った。

なんとか、この場を離れようと思った時

ふと隣の席に目をやると

誰も座っていなかった。

「まもなく、電車が到着いたします。」

社内アナウンスが流れた。

次の駅で、誰も来なかったら

隣の席に移ろう。

そう、逃げるんだ。

「あら、もうこんな所まで来ちゃったの!?

 ビョンちゃんが一緒だと楽しいから

 時間が経つのもあっという間ねー。」

相変わらず、たえ子はまんじゅうを食べ続けている。

「あっ、ここだ、ここだ!」

隣の席に人が来てしまった。

なんて、おれはついてないんだ。

席に座った学生風の男を横目で見た。

瓶底眼鏡にいがぐり頭の男だった。

見た感じ、絶対にいじめられるタイプの男だろうと感じた。

「あー、のどが渇いちゃったなっ。

 後で、なんか買うか!」

独り言をぶつぶつ言っている。

なんか今日は、周りにおかしな奴が集まってくる。

電車が、ゆっくりと動き出した。

「ビョンちゃん、おせんべい。
 
 ほらっ!」

みつ代はおれにせんべいを渡して来た。

どれだけおれにものを食わせれば気が済むのだろう。

しかもこいつらは、会ってからずっとなんか食べている。

だからぶくぶくと太るのだろうと思った。

そう思うと、手に持ったせんべいを食べるべきか

悩んでしまう。

そんな事を考えていると

社内販売の女性が、カートを引いて入ってきた。

「ジュースにビール、おつまみ、お弁当などは如何でしょうかー。」

そうだ、ビールでも買って酔ってしまえば

さほどこいつらの事も、気にならなくなるだろう。

おれは手を挙げて、お姉さんを呼んだ。

「ビールをひとつ。」

「有難うございます。250円になります。」

おれは、ポケットから小銭を出し、

お金を渡した。

そのお姉さんは、大人の色気を感じさせる

きれいな女性だった。

こういう女は、どんな男と付き合うのだろう。

おれには高嶺の花だった。

「有難うございました。」

頭を下げると、その女性はカートを引いて進もうとした。

「お姉さん!僕も飲み物を下さい!」

隣の男が声をかけた。

「何に致しましょう。」

お姉さんがその男に話かけた。

一瞬だが間があいた。

そしてタイミングのはずれた所で男は、

「オレンジジュース下さい!

 つぶつぶ入ってるやつある?」

「はい、ございます。

 150円になります。」

女性は、ジュースの缶をタオルでふき

その男に渡した。

「ねーお姉さんは彼氏とかいるの?」

「えっ!?」

「僕、東大合格 間違いなしの平 勉三!

 隣町まで、全国模試を受けにいくんだけど

 なんなら、その模試僕と同席しない?」

なんだこの男は!

学生風で瓶底眼鏡だから、甘く見過ぎていた。

なんなんだ、こいつの自信は!

おれにはとてもできない事を

簡単にやってのける。

実は、相当な遊び人なのではないだろうか。

あの一瞬の間は、あいつの人目惚れの間だったのだろう。

恋の稲妻があいつに落ちたのだ。

あのいがぐり頭に。

「いや、でもまだ仕事がありますので。」

「大丈夫だよー、ちなみに試験は明日だし、

 何よりも僕は、君に会うためにこの電車に ライド オンしたんだからさ。

 この広い地球上で、とうとう巡り会えた。

 君という名の奇跡に乾杯!」

そう言いながら、男はオレンジジュースの缶を開け

一口、飲んだ。

「でも、困ります。」

女性は、ひどくいやがっている。

当たり前だ。

相手はやっぱり瓶底眼鏡だ。

「でも君の目は正直だ。

 僕を見つめる、その視線が痛いっ!」

何を言ってるんだ、こいつは。

くどいているのか、コントをやってるのか

もはや、わからない域にまで、達している。

「でも、僕は結婚には憧れていて

 ちょっとぐらいなら、

 早くても構わないと思ってる。

 君に従うよ。」

こいつ、なんで急に結婚の話になっているんだ。

話のどのタイミングがきっかけで結婚の話になったのか

全く理解できない。

コミュニケーションからかけ離れた、コントだ!

「お客様、そろそろ失礼します!」

お姉さんは、男を無視して先に進んで行ってしまった。

男は、後ろを振り返りながらぶつぶつ言っている。

「オー マイ スイート エンジェルー。」

本当にこんな奴が、東大合格 間違いなしの頭を持っているのか。

「ねー、ビョンちゃん聞いてるのー。」

ふと気付くと、おばちゃん3人がこっちを見て

何か話かけている。

3人の手には、紙コップがあった。

「ビョンちゃんのそのビールで、

 みんなで乾杯しようと思ったの。」

よし子がそう言うと、他の2人も

紙コップをおれの方へ出してきた。

おれは仕方なく、1本の缶ビールを

3人に分けてやった。

おれの缶には、ビールがほとんど残っていなかった。

「じゃあ、素敵な夜にかんぱーい!」

たえ子は勝手に音頭をとり

おれもとりあえず乾杯をしておいた。

おれの旅は、一体どうなってしまうのだろうか。



 

2009年2月3日火曜日

急行列車。

冷えきったホームに

1本の電車が入って来た。

おれはベンチから腰を上げ、

ボストンバッグを手に取った。

おれは、この街を出て行く事を決意した。

もうここに戻る事はないだろう。

見送りの人間なんて、おれにはいやしない。

なぜなら、おれは孤独をこよなく愛している男だから。

しかし、おれには行く当てはなかった。

ただ、北へ向かい、

適当に流れ着いた先で、生活をしようと考えていた。

おれの孤独な独り旅が、今幕を開けたのだ。

そして電車の扉が開いた。

おれは、その電車に乗り込んだ。

3号車のEー3番席。


!?

座席が向かい合わせになっている。

しかも、50過ぎのおばちゃん3人が騒いでいる。

そして、空いているその席こそが

Eー3番席なのだ。

「すみません、ここれの席なんですけど。」

おれの席は、おばちゃんの荷物置きになっていた。

「あらー、なんか若い男が来たよー。」

ひとりのおばちゃんがそう言うと

もうひとりのおばちゃんが

「もー、この子かわいいじゃなーい、

 あれ?なんだか、イ・ビョンホン様に似てない?」

すると3人は、更にテンションを上げ始めた。

「ビョンちゃん、早くここに座りなさいよー。」

「ほら!あんたもカバンを片付けてー。」

急に、おれの席のカバンを上にあげて

無理矢理、おれを座らせた。

「ねービョンちゃんは、どこまで行くのー?」

ばばあのくせにちょっと甘えた声でおれに聞いてきた。

「あー、とりあえず、北へ。」

「北!?危ないわよー、ビョンちゃん 北朝鮮なんてー。」

「ねー。」

3人は、同じタイミングで頷いた。

こいつら、完全におれを韓国出身とはき違えている。

おれは、れっきとした日本人だ。

「たえ子さん、ビョンちゃんにみかんでも。」

たえ子と呼ばれた、おばちゃんがおれにみかんを差し出した。

「あっ、すみません。」

とりあえず、礼を言っておいた。

孤独な独り旅なのに、なぜおれはこんな奴らと一緒に

電車に乗っているんだ。

「みつ代さん、おまんじゅうがあった、おまんじゅうが」

みつ代と呼ばれたおばちゃんは、思い出したかのように

ふろしきから、まんじゅうを取り出した。

「ほら、おまんじゅう!若い子って本当に良く食べるから

 私、大好きだわー。」

右手にみかん、左手にまんじゅうを持ったおれは

誰がどう見たって、食いしん坊だ。

この状況を、どう打開して行けばいいか

おれは、必死に考えていた。











2009年2月2日月曜日

平(たいら)勉三。

僕は、平(たいら)勉三。

高校2年だ。

僕は、校内でも成績はだんとつの1位。

東大合格も間違いなしの太鼓判を

先生に頂いている。

面談でも、母親は鼻高々だ。

だから僕のライバルはこの学校にいない。

全国にいるのだ。

クラスでも僕は、人気ものだ

朝でも、みんなから

ヘイ!勉三!と

声をかけられる。

僕の名字は平(たいら)だけど

別に構わなかった。

しかし、こんな僕にも問題が1つあった。

なぜ、こんな東大合格間違いなしの男を

女子はほうっておくのか

その連立方程式の解が未だ出ないのだ。

高校に入学してから今までの

告白という名の戦いの成績は

20戦中、0勝20敗。

つまり入学してから月1回のペースで

ふられている。

しかしまだ諦めない。

僕は真実の愛をみつけるのだ。

スイート スクール ライフを夢見て。

今、僕が狙っているのは、

1組の神田 美佐子ちゃんだ。

そう、彼女こそが僕の

マイ スイート ハニーなのだ!

正に運命の人。

僕に舞い降りて来た真っ白な天使。

オー マイ スイート エンジェル!

でも今回の告白は必ず成功させなければならない。

これは確率の問題。

この告白でどれだけ勝利の確率を上げられるかが

勝負のポイントだ。

そんな時、テレビである番組をみた。

あなたのための恋の必勝法という番組を。

僕はそれを食い入るように見た。

そしてとうとう僕は見つけてしまったのだ。

恋の必勝法を。

確率100%の、パーフェクト プラン!

これしかない!と思い、僕は机の上の貯金箱を開けた。

1万円札とあとは地味な小銭ばかりだった。

僕は、この福沢諭吉先生に全てを賭ける事に決めた。

この投資!決して高くはないぞ!

これで、彼女のハートを僕が射止めるのだ。

それは、神様のいたずら。

つまり、運命なのだから。

僕は、放課後まず真っ先に自転車で花屋に向かった。

そして1万円分のバラの花を買った。

学校に戻った僕は

美佐子ちゃんの自転車を探した。

そして、見つけた。

彼女の自転車だ。

僕は、買って来たバラの花を

彼女の自転車のカゴ一杯に詰め込んだ。

そう、昨日見たテレビで

男がプロポーズを決めていた。

その時、トランク一杯に詰め込んでいたバラの花を

彼女にプレゼントしてから指輪を渡すという

何とも画期的な計画だ。

その二人は言うまでもなく結ばれた。

なぜならこの計画は100%なのだから。

この作戦には、失敗する要素が全くない。

カゴ一杯に、花を詰め込んだが数本余った。

1本はまず、自転車のサドルにセロハンテープでくっつけた。

かわいい。

なんとも、ナイスなアレンジ。

こんな機転がきく男になってる程、

自分の恋愛力は上がっているかと思うと

正直自分の隠された力が怖かった。

そして後は、自転車のベルやギアに

バラの花を差し込んでみた。

まるで僕こそが池の坊だと思った。

すばらしいセンス!

後は、彼女を待つだけだ。

すると彼女がやって来た!

しかも一人!

チャンス到来!

神様ありがとう!

彼女は照れているのか、僕と目を合わせようとしない。

そんな彼女も、子猫ちゃんみたいで何ともかわいい!

そんな彼女に、僕の方から声をかけた。

いつの時代も男がリードしないといけないからだ。

「やあ!」

「どうも。」

その素っ気ない態度から見て

彼女は相当な、恥ずかしがり屋さんだ。

「この花はすべて、君へのプレゼントだよ。」

「何これ?」

そして感動の波が彼女に押し寄せ

そしてきらきらと光る涙が彼女の頬を伝う。

そこで僕が切り出すのだ。

「君こそが、僕がずっと探していた たった一人の

 マイ スイート エンジェルだよ。」と。

そして二人は抱き合い、永遠の愛を誓う。

「ちょっと、いい加減にしてよー」

「?」

「何、このバラー?

 しかもサドルに花なんて置いて、私に押し花させる気!?

 それに、こんなにカゴの中が花で一杯だと

 カバンが入らないんですけど!

 ちょっと、あんた自分の自転車に移しかえなさいよ!

 ちゃんと、元通りにして!」

「あっ、はい。」

僕は、バラの花を自分の自転車のカゴに移しかえた。

すると彼女は、自転車に乗って走りだそうとした。

そして最後に彼女はこう言った。

「変態!」

女心が、全く理解できない。

成功率100%なこのパーフェクトプランが

ことごとく打ち砕かれた。

これで、21戦中0勝21敗。

僕の自転車のカゴには、たくさんのバラの花でいっぱいだった。


僕に舞い降りて来た天使は、一変して悪魔へと変わってしまった。

何が彼女を悪魔に変えたのか。

この不況という世の中が、彼女をそう変えてしまったのか。

帰ったら、1度ノートにまとめてみよう。

次は、4組の浜田 香苗ちゃんだ。

彼女こそが、たった一人の

マイ スイート エンジェル!


2009年2月1日日曜日

山田さとる君〜完〜


おれは、山田さとる。

中学2年生。


今日は家族で、横浜に向かっている。

夜は中華街で、ご馳走が食べられる。

別に、ご飯に釣られた訳じゃない。

しかし今日は、いつもに増して

2人の仲が良かった。

父さんが、母さんにプロポーズしたのは

横浜のクルーザの中だった話は何度も聞いた。

何か、ちょっといかにも過ぎて

初めて聞いた時は、笑いが止まらなかった。

だから思い出の街に行くのに、二人で浮かれているのだ。

おれも最近、恋のキューピットをした。

小学校から仲の良い、木下が

松山あかねの事が好きで仕方ないようだった。

だからおれは、気持ちを伝えろと言った。

けど、あいつはそんな事おれにはできないと言った。

だからおれは、あいつに勇気をプレゼントする事にした。

まずはおれは、木下に言った。

松山がおまえの事が好きらしいと。

でも、気持ちを伝える勇気がないから

木下の方から来てくれたら

どんなに嬉しいかと松山が言っていたと。

そんな話は、全部嘘だ。

けど、そうでもしないとあいつの重い腰は上がらない。

それを聞いた木下は、そうとう興奮していた。

ほんとか?ほんとか?とくどいくらいに連呼していた。

おれは、何度も本当だと言ってやった。

けど心では、嘘だよ 全部嘘だよと。

で、次は松山だ。

こっちの方は簡単だ。

木下が話したい事があるから

今日の放課後、体育館の裏に来て欲しいと

伝えるだけだった。

松山はあっさりと、了承した。

2人が、結ばれるかは50/50だ。

おれは、不動産仲介業者みたいな気分だった。

そして放課後、おれは体育館の表で

木下が戻るのを待っていた。

5分ぐらい経った頃、木下が戻ってきた。

表情は暗かった。

その表情を見て、おれは察しがついた。

ふられたのだ。

木下は、すごい顔をしながら

おれに言った。

話が違うじゃないか。

あいつに伝えたい事は山程あったが

理解できないと思いやめた。

だからとりあえず謝っておいた。

でもあいつの怒りようは、すごかった。

おれにとっても良い経験になったが

あいつも大人になったらわかるはずだ。

おれはあいつに勇気をプレゼントした。

その勇気のおかげで、

あいつは気持ちを伝えられなくて

後で、後悔する事はなくなった。

1度しかない人生、

おれは後悔するような生き方はしたくない。

だから、遠足のおやつ代だって

おもちゃを買ってなくなったって

落書きをして怒られたって、全然へっちゃらだった。


横浜の赤レンガ倉庫を抜けた。

そしてこの目の前に、広がる海が

父さんが母さんにプロポーズした海だ。

父さんは、1度しかない人生の

プロポーズの舞台をここに選んで

母さんに一生懸命に気持ちを伝えて

指輪を渡した。

そして今、おれがここにいる。

そう思ったら、父さんの勇気も悪くないと思えた。

父さんと母さんが、見つめ合って何か言葉を交わした。

おれには聞こえなかったが、何となく想像がついた。

この後は、中華街がおれを待ってる。











山田さとる君。

僕は、小学5年生。

僕の苦手な算数のテストが返ってきた。

10点だった。

10のとなりに0を書いてみた。

100点になった。

初めてとった100点。

帰ってお母さんに見せてみた。

怒られた。









うさぎ小屋の掃除当番だった日。

小屋の掃除をしてたら、

1匹のうさぎがやたら僕になついてきた。

えさをあげたら、すごく嬉しそうに食べた。

それを見てたら、すごくかわいく思えた。

その1匹に名前をつけた。

山田ウサ彦。

オスかメスかわからなかったけど

なんとなくオスだと思った。

名前をつけたら余計にかわいく思えた。

だから、家に持ち帰った。

そしたらお母さんにまた怒られた。




音楽の時間、みんな壇上へ上がり

グリーングリーンを唄っていた。

僕はパパと二人でーってな具合で。

悲しい曲だった。

でも、隣で唄っている長尾が

やたら揺れながら口を大きく開いて唄っている。

まるで、合唱部だ。

その揺れる肩が、真剣に唄っている

僕にぶつかってくる。

だんだんむかついてきたので

あいつの肩がぶつかってきた瞬間に

僕は自分の肩で押してやった。

あいつは向こう側にいた井上にぶつかっていき

ドミノ倒しのように

おもしろいぐらいみんなが倒れていった。

そのドミノは女子の方まで続き

最後には、2列目に立っているのは

僕だけになっていた。

先生の方をみると、目が合った。

事の次第をわかっているみたいだった。

僕は先生に呼ばれ、廊下で怒られた。

それから少しの間、廊下に立たされた。











音楽の授業が終わった。

先生も職員室へ戻っていった。

いつも上に飾ってある

瀧 廉太郎の写真がずっと気になっていた。



























僕は筆箱から、マジックを出した。

それで、椅子を持って来て

それを写真の前において登った。

まず、手に持ったマジックで

眼鏡を黒く塗りつぶしてみた。

タモリになった。

それから、まゆげをつなげてみた。

タモリじゃなくなった。

それから鼻の穴を黒く塗ってみた。

塗り過ぎた。

鼻だけ、小堺かずきになった。


教室に戻った。

次の社会の授業が始まった。

そしたら、音楽の浜中先生がやって来て

僕を呼んだ。

瀧さんの写真に落書きした犯人が

僕だと言う。

こんな思春期の僕を犯人扱いするなんて

なんてデリカシーのない女かと思った。

僕は完全に否定した。

そしたら先生が、マジックを出してきた。

山田さとると書かれたマジックを落としていったみたいだ。

僕は、とりあえず謝った。

職員室へ連れてかれた僕は、その後みっちりと怒られた。







山口が、新しい少年ジャンプを持っていた。

貸してくれと言ったら貸してくれた。

優しい奴だ。

家に帰って、ジャンプを読んでいた。

プリンを食べながら。

そしたら、本にプリンが落ちた。

カラメルたっぷりの部分が。

僕は急いで、洗面所に行って

水に濡らした指で、汚れた部分をこすった。

そしたら、インクがにじんで余計に汚くなった。

とりあえず、濡れた本を外で乾かしていた。

1時間たって、とりに戻ったら本が落ちていた。

昨日、降った雨のせいで少しぬかるんだ地面の泥が

本について更に汚れた。

僕はそれを持って、自分の部屋に行った。

それで、消しゴムで汚れをとろうとした。

力をいれすぎたせいか、今度はページが破れてしまった。

次の日、山口に本を返した。

ちゃんと謝ったのに泣かれた。

男のくせに、泣きやがった。

そしたら、担任の山本先生がやってきた。

それで、また怒られた。











遠足の前日、お母さんから渡された

おやつ代の300円を持って、

駄菓子屋に行った。

そしたら、駄菓子屋の前で

長谷部が手に持った銃を僕に向けてきた。

そしたら、パーッン!と大きな乾いた音がした。

僕は撃たれたと思った。

でもまだ生きてた。

それはおもちゃの音がなる銃だった。

駄菓子屋に入った僕は

すぐにその銃と火薬を買った。

駄菓子屋の前で、長谷部がにやにやしていた。

その視線の方向に目をやると

バカ面した、橋本が自転車をこいでこっちに

向かってくる。

僕は、長谷部に今度は僕にやらせろと言った。

自転車を停めた橋本にむかって

僕は、引き金をひいた。

パーッン!

橋本は驚いて、停めたばかりの

自転車と一緒に倒れた。

おかしくて仕方なかった。

それから、遠足のおやつを買いに来る

ぜっこうのカモがくる度に、銃の引き金をひいた。

みんな、おもしろいリアクションをしてくれた。

僕はその度に、腹をかかえて笑った。

火薬がなくなる度に、駄菓子屋で買って弾を補充した。

気がついたら、おやつ代の300円がなくなった。

家に帰って、お母さんにおやつ代を

落としたと言ってみた。

そしたら、僕の後ろポケットにはいってる

銃を取り上げた。

嘘がバレてたみたいだ。

また、母さんに怒られた。












遠足の日の朝、外は雨が降りそうな天気だった。

すると電話が鳴った。

僕は電話をとると、相手はクラスの前山だった。

やっぱり雨で遠足は中止で

通常授業だという連絡網だった。

僕はお母さんに、遠足が中止になった事を伝えた。

次に僕が連絡網をまわす相手は山根だ。

あいつは昨日、ものすごく遠足を

楽しみにしていた。

授業中も後ろから

おやつ何を買うだとか

お弁当の中身の予定は何だとか

ちょっと浮かれ過ぎじゃないかと思った。

だから僕には、遠足が中止だなんて

あいつをがっかりさせるような事はできなかった。

僕は迷わず、山根を飛ばして

和田に電話した。

僕は家を出て学校へむかった。

教室にはいってちょっとしてから

山根がリュックサックをしょって教室に入ってきた。

僕は連絡網の事はすっかり忘れてて

大笑いながら、おまえ何 遠足気分でいるんだよと言った。

でも山根は本気で僕に怒って来た。

その後も、山本先生から大目玉をくらった。













今日は、木下が風邪で休んだ。

いつもよく遊んでる奴だ。

僕は喜んだ。

なぜなら今日の給食は揚げパンだ。

給食の時間、僕は揚げパンを1個ビニル袋に入れた。

それで、山本先生に

連絡帳と一緒にこの揚げパンも

木下の家に届けると言った。

先生は快く了承した。

僕は、木下の家に行く途中

あいつの揚げパンを頬張りながら

歩いていた。

あいつは体調が悪いから

こんな油で揚げたパンなんて

体に毒だからだ。

僕は、なんて友達思いな男だろうと思った。

スーパーを曲がった所で、

クラスの女子の宮田と若林が、話の花を咲かせていた。

こいつらはクラスでもちょっとませガキな女だ。

特にタチが悪いのがすぐに先生にチクル事だ。

僕は、何度かこいつらに

帰りの会で先生にちくられた事がある。

僕は食べていた揚げパンを隠し

来た道を戻った。

次の日、やっぱり先生に呼ばれた。

揚げパン食べただろと言われた。

もう素直に認めてやった。

ものすごく怒られた。

ついでに、今日登校してきた

木下にも怒られた。