2009年2月2日月曜日

平(たいら)勉三。

僕は、平(たいら)勉三。

高校2年だ。

僕は、校内でも成績はだんとつの1位。

東大合格も間違いなしの太鼓判を

先生に頂いている。

面談でも、母親は鼻高々だ。

だから僕のライバルはこの学校にいない。

全国にいるのだ。

クラスでも僕は、人気ものだ

朝でも、みんなから

ヘイ!勉三!と

声をかけられる。

僕の名字は平(たいら)だけど

別に構わなかった。

しかし、こんな僕にも問題が1つあった。

なぜ、こんな東大合格間違いなしの男を

女子はほうっておくのか

その連立方程式の解が未だ出ないのだ。

高校に入学してから今までの

告白という名の戦いの成績は

20戦中、0勝20敗。

つまり入学してから月1回のペースで

ふられている。

しかしまだ諦めない。

僕は真実の愛をみつけるのだ。

スイート スクール ライフを夢見て。

今、僕が狙っているのは、

1組の神田 美佐子ちゃんだ。

そう、彼女こそが僕の

マイ スイート ハニーなのだ!

正に運命の人。

僕に舞い降りて来た真っ白な天使。

オー マイ スイート エンジェル!

でも今回の告白は必ず成功させなければならない。

これは確率の問題。

この告白でどれだけ勝利の確率を上げられるかが

勝負のポイントだ。

そんな時、テレビである番組をみた。

あなたのための恋の必勝法という番組を。

僕はそれを食い入るように見た。

そしてとうとう僕は見つけてしまったのだ。

恋の必勝法を。

確率100%の、パーフェクト プラン!

これしかない!と思い、僕は机の上の貯金箱を開けた。

1万円札とあとは地味な小銭ばかりだった。

僕は、この福沢諭吉先生に全てを賭ける事に決めた。

この投資!決して高くはないぞ!

これで、彼女のハートを僕が射止めるのだ。

それは、神様のいたずら。

つまり、運命なのだから。

僕は、放課後まず真っ先に自転車で花屋に向かった。

そして1万円分のバラの花を買った。

学校に戻った僕は

美佐子ちゃんの自転車を探した。

そして、見つけた。

彼女の自転車だ。

僕は、買って来たバラの花を

彼女の自転車のカゴ一杯に詰め込んだ。

そう、昨日見たテレビで

男がプロポーズを決めていた。

その時、トランク一杯に詰め込んでいたバラの花を

彼女にプレゼントしてから指輪を渡すという

何とも画期的な計画だ。

その二人は言うまでもなく結ばれた。

なぜならこの計画は100%なのだから。

この作戦には、失敗する要素が全くない。

カゴ一杯に、花を詰め込んだが数本余った。

1本はまず、自転車のサドルにセロハンテープでくっつけた。

かわいい。

なんとも、ナイスなアレンジ。

こんな機転がきく男になってる程、

自分の恋愛力は上がっているかと思うと

正直自分の隠された力が怖かった。

そして後は、自転車のベルやギアに

バラの花を差し込んでみた。

まるで僕こそが池の坊だと思った。

すばらしいセンス!

後は、彼女を待つだけだ。

すると彼女がやって来た!

しかも一人!

チャンス到来!

神様ありがとう!

彼女は照れているのか、僕と目を合わせようとしない。

そんな彼女も、子猫ちゃんみたいで何ともかわいい!

そんな彼女に、僕の方から声をかけた。

いつの時代も男がリードしないといけないからだ。

「やあ!」

「どうも。」

その素っ気ない態度から見て

彼女は相当な、恥ずかしがり屋さんだ。

「この花はすべて、君へのプレゼントだよ。」

「何これ?」

そして感動の波が彼女に押し寄せ

そしてきらきらと光る涙が彼女の頬を伝う。

そこで僕が切り出すのだ。

「君こそが、僕がずっと探していた たった一人の

 マイ スイート エンジェルだよ。」と。

そして二人は抱き合い、永遠の愛を誓う。

「ちょっと、いい加減にしてよー」

「?」

「何、このバラー?

 しかもサドルに花なんて置いて、私に押し花させる気!?

 それに、こんなにカゴの中が花で一杯だと

 カバンが入らないんですけど!

 ちょっと、あんた自分の自転車に移しかえなさいよ!

 ちゃんと、元通りにして!」

「あっ、はい。」

僕は、バラの花を自分の自転車のカゴに移しかえた。

すると彼女は、自転車に乗って走りだそうとした。

そして最後に彼女はこう言った。

「変態!」

女心が、全く理解できない。

成功率100%なこのパーフェクトプランが

ことごとく打ち砕かれた。

これで、21戦中0勝21敗。

僕の自転車のカゴには、たくさんのバラの花でいっぱいだった。


僕に舞い降りて来た天使は、一変して悪魔へと変わってしまった。

何が彼女を悪魔に変えたのか。

この不況という世の中が、彼女をそう変えてしまったのか。

帰ったら、1度ノートにまとめてみよう。

次は、4組の浜田 香苗ちゃんだ。

彼女こそが、たった一人の

マイ スイート エンジェル!


2 件のコメント:

匿名 さんのコメント...

短編小説は読みやすいので好きです★

tomo さんのコメント...

こんばんは!

長編小説の方もしっかり読んで下さいよ!

今日は、プレッシャーでなかなか筆が進まない・・。