2009年2月1日日曜日

山田さとる君〜完〜


おれは、山田さとる。

中学2年生。


今日は家族で、横浜に向かっている。

夜は中華街で、ご馳走が食べられる。

別に、ご飯に釣られた訳じゃない。

しかし今日は、いつもに増して

2人の仲が良かった。

父さんが、母さんにプロポーズしたのは

横浜のクルーザの中だった話は何度も聞いた。

何か、ちょっといかにも過ぎて

初めて聞いた時は、笑いが止まらなかった。

だから思い出の街に行くのに、二人で浮かれているのだ。

おれも最近、恋のキューピットをした。

小学校から仲の良い、木下が

松山あかねの事が好きで仕方ないようだった。

だからおれは、気持ちを伝えろと言った。

けど、あいつはそんな事おれにはできないと言った。

だからおれは、あいつに勇気をプレゼントする事にした。

まずはおれは、木下に言った。

松山がおまえの事が好きらしいと。

でも、気持ちを伝える勇気がないから

木下の方から来てくれたら

どんなに嬉しいかと松山が言っていたと。

そんな話は、全部嘘だ。

けど、そうでもしないとあいつの重い腰は上がらない。

それを聞いた木下は、そうとう興奮していた。

ほんとか?ほんとか?とくどいくらいに連呼していた。

おれは、何度も本当だと言ってやった。

けど心では、嘘だよ 全部嘘だよと。

で、次は松山だ。

こっちの方は簡単だ。

木下が話したい事があるから

今日の放課後、体育館の裏に来て欲しいと

伝えるだけだった。

松山はあっさりと、了承した。

2人が、結ばれるかは50/50だ。

おれは、不動産仲介業者みたいな気分だった。

そして放課後、おれは体育館の表で

木下が戻るのを待っていた。

5分ぐらい経った頃、木下が戻ってきた。

表情は暗かった。

その表情を見て、おれは察しがついた。

ふられたのだ。

木下は、すごい顔をしながら

おれに言った。

話が違うじゃないか。

あいつに伝えたい事は山程あったが

理解できないと思いやめた。

だからとりあえず謝っておいた。

でもあいつの怒りようは、すごかった。

おれにとっても良い経験になったが

あいつも大人になったらわかるはずだ。

おれはあいつに勇気をプレゼントした。

その勇気のおかげで、

あいつは気持ちを伝えられなくて

後で、後悔する事はなくなった。

1度しかない人生、

おれは後悔するような生き方はしたくない。

だから、遠足のおやつ代だって

おもちゃを買ってなくなったって

落書きをして怒られたって、全然へっちゃらだった。


横浜の赤レンガ倉庫を抜けた。

そしてこの目の前に、広がる海が

父さんが母さんにプロポーズした海だ。

父さんは、1度しかない人生の

プロポーズの舞台をここに選んで

母さんに一生懸命に気持ちを伝えて

指輪を渡した。

そして今、おれがここにいる。

そう思ったら、父さんの勇気も悪くないと思えた。

父さんと母さんが、見つめ合って何か言葉を交わした。

おれには聞こえなかったが、何となく想像がついた。

この後は、中華街がおれを待ってる。











2 件のコメント:

匿名 さんのコメント...

この前ゴルフに行ったら107でした。
伸び悩んでます。

tomo さんのコメント...

いやいや、どうもー!

Y助さん、お久し振りですねっ!

スコアが107で、伸び悩んでるとか。

1度、私が相談に乗りましょうか!

100をきれる、コツをみっちりと

教えてあげますよーー!