2009年1月29日木曜日

257号。

おれはいつも自由を求めて生きている。

昔からそうだ。

おれには親なんてものはいない。

だから今まで一度だって、他人に縛られた事なんてない。

おれは昔から、勉強が嫌いで学校だってやめた。

付き合った女にさえ、おれを縛る事を許さなかった。

そう、おれは自由に生きられない世界なんて

まっぴらごめんだ。

「おい!257号!何をぶつぶつ言ってる!

 刑務所内では規律を守れ!」

「はい、すみませんでした。」

おれは1週間前から、塀に囲まれた部屋で

生活している。








おれはいつだって、慎重に行動して来た。

どちらかと言えば、石橋を叩いて割るタイプの男だ。

だから、車を買うときだって欲しい車の事を

とことん調べてやった。

女を選ぶ時もそうだ。

外見や、初対面の印象なんて

おれには関係ない。

何より大切のなのは、そいつが持ってるハートだ。

だから、今まで人目惚れなんて

ちんけな衝動にかられた事なんてない。

「おい!257号!何をぶつぶつ言ってる!

 さっさと目の前の食事を済ませるんだ!。」

「はい。すみませんでした。」

おれは迷っていた。

何から先に食べればいいのか。

それにこの人参の生産者が気になって仕方がない。






おれには特技がある。

自分が観たいと思った夢がみられる。

そいつにはちょっとしたコツがいる。

それは布団にはいって、まず3つ数える。

そして深く息を吐き、気持ちを鎮める。

この気持ちをリラックスさせるのがポイントだ。

ちょっとでも、他事を考えたりすると

観たい夢も、観れなくなる。

で、ここからが重要だ。

まず自分が観たい夢を、思い浮かべる。

そして


「おい!257号!何をぶつぶつ言ってる!

 もう就寝時間を過ぎているぞ!」

「はい、すみませんでした。」

おれはまだ、ここでの生活には慣れそうにない。

あいつは何でいつもおれの事ばかり怒るのか

気になって仕方がない。
















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