2010年2月22日月曜日

ロックバンド。。。その4

半年ほど前の話になる。

あいつにこのバンドを辞めてもらおうと

あいつ以外のメンバーで

あれやこれやで作戦を練っていた頃だった。

イソフラ☆ボンは、自ら

「おれ、バンド抜けたいんだ。」

と相談をもちかけてきた。

理由は

「おれ、イソフラ☆ボンという
 
 無限の可能性を存分に試したいんだ!

 こんなロックバンドじゃ、

 おれのやりたい事ができないんだ!」

というものだった。

おれたちはあいつを止める事なく

快く承諾した。

そしてあれから半年がたった今。

おれは何気なしにテレビを見ていた。

しかしブラウン管の向こう側に見慣れた顔があった。

そしてその映像に合わせて音楽が流れ始めた。

プロモーションビデオだった。

イソフラ☆ボン

デビューシングル 「大豆のパワーは 半端ねぇ」

イントロが流れ出すと

それはユーロビート調のダンス音楽だった。

今までやってきた、ロックとは全くかけ離れていた。

それに元々ドラマーだったのにドラムもない。

あいつは何をやってんだ。

しかもその曲は

昔ブレイクした

MAXの「TORA TORA TORA」

そのものだった。

パクリかよ。

しかもあいつは、頭に大豆だと思われるような

かぶりものをして、全身は黒タイツで被われていた。

激しいダンスに、あの大きな大豆のかぶりもの。

うまくバランスがとれるはずがない。

案の定、頭を

ぐらんぐらんとさせ

不自然な動きをしながらステップを踏んで歌っている。

あいつ、本当に何なんだ。

しかもサビの歌詞が

MAXの「TORA TORA TORA」では



TORA TORA TORA

恋は一途

TORA TORA TORA

本気よ


という歌詞だが

あいつの曲では



MAME MAME MAME

豆は大豆

ISO FURA BON

豊富よ


と歌詞だけ勝手にアレンジしてあった。

あいつは間違いなく世間を敵にまわす気だ。

こんな学芸会みたいな作品が売れるはずがない。

音楽そのものも侮辱しているとしか言いようがなかった。

何が無限の可能性だ。

これがあいつのやりたかった事なのか。

おれは呆れ果てた。

テレビを消しパソコンの電源をいれて

何気にYAHOOニュースを眺めていた。

すると芸能のニュースに


イソフラ デビュー曲ミリオン

という見出しがあった。

おれがまず腹がたったのは

イソフラ☆ボンの

イソフラという略し方だ。

インフルエンザを

新型インフル 沈静化か

みたいな日本国民みんなが承知ですみたいな略し方を。

そして、記事を見てみると

イソフラ☆ボンのデビューシングル

「大豆のパワーは、半端ねぇ」

が発売からわずか3日で、ミリオンセラーを達成したのだ。

おれは目を疑った。

あんな猿芝居みたいな踊りと

パロッただけのあんな変な曲でミリオン!?

しかもその記事の最後に

”これだけのヒットが生まれたのも

きっと大豆ペプチドの効果だろう”

と書かれていた。

笑えない。

全く笑えない。

そんなタブロイド紙のような安っぽい決め台詞は

全く笑えなかった。


おれは、なぜか大豆について

調べてみた。

ウィキペディアで。

そして1つだけわかった事があった。

それは

大豆のパワーは、半端ねぇ

って事が。



























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