2010年2月20日土曜日

ロックバンド。。。その3

執拗以上のあいつのこだわりの訳。

それが今やっと、わかった気がした。

おれたち3人は、あいつの実家に

初めて招待された。

昨夜のさよならコンサートは

さよならではなく、おかえりコンサートに

なってしまった事は言うまでもない。

結局、イソフラ☆ボンと

今まで通りにやって行く事になっている。

そしてあいつの実家の前におれたち4人は

立っている。

そうあいつの実家は豆腐屋だった。

イソフラ☆ボンという名にこだわっていた理由。

そして

「大豆のパワーは、半端ねぇ」という言葉の意味がわかった気がした。

そりゃ、誰よりも大豆のパワーにはお世話になっているはずだ。

店の玄関の戸を、ガラガラと引き

あいつは中にはいっていった。

おれたちもあいつの後ろについて行った。

「ただいまー!

 オヤズー、マズー、

 帰ったぞー!」

なんか、あいつナマってないか?

おれたちの地元名古屋では、

あんなナマりなんてない。

しかもマズーって何なんだ。

すると奥から、あいつの親父さんらしき人が出てきた。

「おー、ボウズー!

 帰ったかー!

 おーみんなも揃いで!

 ほら、中に入った!入った!」

と、親父さんに案内されるがままに

畳の部屋へと案内され、

座るように促された。

そして、盆に湯のみをのせて

あいつのお母さんが

「いつもうちのボウズが

 本当にお世話になってます〜!」

と笑顔で出て来た。

そしてあいつは

「これがうちの

 マイ マズー。」

マズーとは、マザーのナマった呼び方だと

ようやく理解出来た。

しかし親父さんとお母さんは

さっきから、あいつの事を

ボウズ、ボウズと呼んでいるのが

ずっと気になっていた。

すると、イソフラ☆ボンが

ポケットから封筒を取り出し

ちゃぶ台の上に、ポンっと置いた。

「オヤズー、マズー!

 これ少ないけど

 とっといてくれ!」

あいつは、自分の稼ぎから

親に仕送りしているようだ。

おれはこの時ばかりは

イソフラ☆ボンがかっこよく見えた。

封筒に目をやると

おかしな言葉が書かれていた。


”親豆とマ豆ーへ”

オヤズとマズーへ?

豆?

と、次の瞬間だった。

親父さんが

「わしらもおまえに手紙を書いたから

 帰ったら、読むんだぞ。」

封筒をちゃぶ台の上に置いた。

その封筒に書かれていた言葉は

”わしらのかわいい坊豆へ”

ボウズ?

また豆?

どんだけ豆を愛する家族なんだ。





おれはこの時、初めて感じた。

大豆のパワーは半端ねぇと。











ふと庭に目をやると

一匹の犬がいた。

そいつも豆しばだった。





























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